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一級自動車整備士2003年11月【No.03】 
サーキットテスタ

問題
 

 表にある性能を有するサーキット・テスタを用いて図の@,A間の電圧を測定したとき,サーキット・テスタに表示される電圧値として,適切なものは次のうちどれか。
ただし,電圧レンジは最も適切なレンジを使用したものとする。
(1) 3.999V
(2) 4.878V
(3) 4.923V
(4) 4.987V

解説
電気回路計算に慣れていれば、簡単な問題ですが、テスタのデータに振り回されて問題の趣旨を取り違えないようにしなければなりません。

必要なのは入力インピーダンス(交流抵抗値)だけです。

入力抵抗を10×106Ωとして、500kΩと並列接続を考えます。

さらに、分圧の関係式で@の電圧を求めればよい。

(1)並列抵抗の合成抵抗
0.5×106・10×106

0.5×106+10×106
5×106

10.5

(2)分圧
106

10.5
5

×10V
×10V
0.5×106 106

10.5
0.5×10.5+5
5

×10V 4.878V
5.25+5

一般に入力抵抗が10MΩもあれば、電圧測定は問題ありません。

しかしながら、高抵抗、500kΩにもなると徐々に誤差が発生してきます。

やはり、高抵抗値であるスタータやオルタネータなどの絶縁抵抗は、テスタで測定できません。

そのような高抵抗測定は、絶縁抵抗計(メガー)が必要です。

すなわち、この問題は、近年、高入力インピーダンス化するテスタではあるが、限界もあるということを理解する上では、よい問題です。

106 オームのことを、1メガオームといいますが、1 メグオーム とも呼びます。

余談ですが、理想の電圧計は入力インピーダンスが無限大のものです。

これは、被測定対象からの電流をテスタになるだけ取り込まないための要件です。

入力インピーダンスが低いと、測定対象物の電流を取り組むことによって、測定対象の状態を乱してしまうことになり、正確な測定ができなくなります。

実際、整備作業ではここまでの精度は、必要ありませんが参考として記載しております。

測定方法には次の二つがあります。
偏位法
deflection method
被測定量を電気信号に変換した値そのものから被測定量を知る方法
零位法
zero method
既知量を測定量と平衡させて、その既知量の大きさから被測定量を間接的に知る方法

テスタなどは変位法です。

被測定対象から一部のエネルギを取り出すため、高精度ではありませんが実用的な手法です。

零位法は、被測定対象からエネルギを取り出すことなく、既知のものと平衡させるはかりのようなもので、超精密測定ですが、実用には向きません。
校正用測定器などに使われる方式です。
あるいは、研究・開発向きの計器です。

近年、ICの発達でMOS・FET型の入力インピーダンスを有し、高抵抗化したり、積分回路の分解能が高精度化し、変位法で高性能化しつつあります。

そのような安価、高性能な測定器が簡単に入手できるようになり、さらには簡単にパソコンに接続可能となり、有り難い時代になったと思います。

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