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一級自動車整備士2003年11月【No.20】
 
プロペラ・シャフト、ドライブ・シャフト

問題
 
 プロペラ・シャフトのジョイントに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。


(1) ダブル・カルダン型等速ジョイントは,入力軸とカップリング・ヨークの角度によって生じる回転変動と,出力軸とカップリング・ヨークの角度によって生じる回転変動が相殺されることにより,ジョイント角による回転変動を防止させ,回転の等速性が得られるものである。

(2) トリポード型等速ジョイントは,ヨーク間に硬質ゴム製のカップリングを挟み、交互にボルトで締め付けたもので,特徴として弾性係数が低いことと,内部摩擦による減衰作用を持っていることである。

(3) 横置きエンジンの4WD車では,路面の凹凸や負荷条件によるジョイント角の変化と同時に,エンジンのロール振動が,直接ジョイント角に影響し,こもり音を発生させやすい。このため,クロス・グルーブ型等速ジョイントを用いることにより,このジョイント角の変化に対応したものもある。

(4) シェル形ベアリング・カップ・ジョイントは,ジョイント部において,カップとスパイダのスパイダ軸方向のガタによるプロペラ・シャフトのアンバランスの発生をなくすため,一般にスナップ・リングを選択して取り付けることにょり,バランス性能を向上させたものである。


解説

テキストを引用させていただきます。

フレキシブル・ジョイントは、2個の三つ又状のヨークの間に、硬質ゴム製のカップリングを挟み、交互にボルトで締め付けてジョイントしたものである。

特徴として次の二つが上げられる。

@弾性が低いこと
Aリヤサスペンションを経由する振動と騒音が低減される

トリボード型等速ジョイントは、3個のローラ、ローラにはめ合う三つの円筒溝をもつチューリップと、同一平面内に3本の軸をもつトリボードから構成されている。
このジョイントでは、駆動軸に対して、被駆動軸がジョイント角に対応した量だけ偏心し、軸の回転角の3倍の角度だけ公転することにより等速性を保っている。

1級とはかけ離れますが、参考として3級シャシのテキスト上の分類をおさらいしてみます。


ユニバーサル・ジョイント @フック・ジョイント (カルダン・ジョイント)
A等速ジョイント (a)バーフィールド型ジョイント
  (固定式)
(b)トリボード型ジョイント
  (スライド式)

今回の問題のテキスト上の分類をまとめました。

プロペラ・シャフトでの対応 @3ジョイント・プロペラ・シャフト
  (分割し、固有振動数を高めた)
Aフレキシブル・ジョイント
  (硬質ゴムで弾性を低下させた)
B振動防止式のプロペラ・シャフト
  (ゴムでねじり共振を低下させる)
Cダブル・カルダン型等速ジョイント
  (カルダン=フック(十字継手))
Dクロス・グループ型等速ジョイント
 (横置きエンジンの4WD車)
Eシェル形ベアリング・カップ・ジョイント
 (バランス性能の安定化)


ドライブ・シャフトでの対応 @トリボード型等速ジョイント
  (スライド抵抗小、スライド量大)
Aダブル・オフセット型等速ジョイント
 (6つのボール、6次振動成分)
Bクロス・グループ型等速ジョイント
 (振動強制力の発生殆どなし)


出題の特徴としては、各種方式の基本機能、特徴を比較対照した複合問題といえますが、基本的なものばかりですから着実に解答するようにしたいものです。

振動問題は、今後も重要になると思われますので、テキストを熟読されポイントをノートに整理されるとよいでしょう。


余談

振動分析問題は、複合現象であり複雑極まりないものですが、最近は高性能の測定装置も安価に販売され簡単に測定できるようになりました。

しかし、使う側の方が、この高性能・低価格の装置を使いこなせないという、

贅沢で不思議な時代になったものです。

しかしながら、振動分析で用いられるFFT(高速フーリエ変換)がこのように

普及されるとは、隔世の感にひたされる思いがします。



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2006年12月【No.30】

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