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一級自動車整備士2004年11月【No.23】

断続駆動アクチュエータの点検

問題

 図のABS(ABSとは,アンチロック・ブレーキ・システムのことをいう。以下同じ。)等のスイッチングに用いる断続駆動アクチュエータのソレノイド駆動時の点検結果の記述として,不適切なものは次のうちどれか。なお,図に示すV1からV5は表のとおりである。

(1) 1の電圧に対してV2の電圧が低い場合は,駆動端子とソレノイド・コイルの駆動端子間に異常が発生している。

(2) 3及びV5に電圧が発生していれば,ソレノイド・コイルのアース端子からボデー・アース間又はフェイルセーフ・リレー・コイルに異常が発生している。

(3) 3及びV4に電圧が発生していれば,フェイルセーフ・リレー接点のアース端子とボデー・アース間に異常が発生している。

(4) 2に発生する電圧が信号(駆動)電圧特性図に一致し,V1に発生する電圧が信号(駆動)電圧特性図に一致せず,V3に電圧が発生しない場合は,ECUのソレノイド駆動端子とソレノイド・コイルのアース端子間に異常が発生している。



解説

このABS系の問題は、難問中の難問といえます。

まずは要点は以下のとおりです。

1の電圧に対してV2の電圧が低い場合は,駆動端子とソレノイド・コイルの駆動端子間に異常が発生している。
       ↓
1の電圧に対してV2の電圧が高い場合は,駆動端子とソレノイド・コイルの駆動端子間に異常が発生している。

不適切は以上ですが、この項目のおさらいをしておきましょう。

ECUから2つの出力を持ち、かつ、2つの確認信号を有する、

極めて高機能な制御回路です。

作動が分かりにくく、問題を難題にしています。

出力形態

フェイルセーフ・リレー・コイル(FSR)を駆動しリレー接点をONにしておき、
必要に応じてソレノイド・コイルの駆動を行う駆動信号を出力する方式です。

2タイプの信号形態
@コンピュータがFSRを駆動して、FSR接点(ソレノイド回路に直列接続)をONにする
AFSR接点がONの後、コンピュータはセンサからの情報により、
 必要に応じてソレノイド・コイル駆動信号を出力する

点検方法にはアクチュエータの状態により次の3つで行います。

@駆動停止時(リレー接点OFF時)
 すなわち、駆動停止時とは、
 FSR⇒OFF・高電位
 SOL⇒OFF・高電位  の状態です。
 診断信号を確認⇒診断する能力があるか確認する。
   作業項目
   FSR系、SOL系単体のチェック。   

A待機時(リレー接点ON時)
 すなわち、待機時とは、
  FSR⇒ON・低電位
  SOL⇒インパルス診断信号  の状態です。
 インパルス診断信号駆動信号を確認
 作業項目
 FSR系単体のチェック。
 FSR系、SOL系連動のチェック。
 駆動回路とソレノイド・コイル間の短絡検知を行っています。

Bソレノイド駆動時(リレー接点ON時)
すなわち、ソレノイド駆動時とは、
  FSR⇒ON・低電位
  SOL⇒連続パルス信号  の状態です。
  作業項目
  駆動時、駆動信号と駆動電圧を確認
  SOL系単体のチェック。
  FSR系、SOL系連動のチェック。


さて、

『V1の電圧に対してV2の電圧が低い場合』

 はあり得る条件でしょうか。

もちろん、オシロスコープを用いて瞬間的な電圧を測る場合は、あり得ると推測されますが、前提は直流電圧計を利用します。

リレーとは、リレー・コイルとリレー・接点からなりたっています。

回路図としてはリレー・コイルとリレー・接点は離れて記載されますが、実際は一つのものです。
実際は、経年劣化による部品内短絡もあり得ると思います。

するとリレー・コイルの12V電源が、リレー・接点SOL側に高電位がかかり、題意の条件が生まれるかもしれません。

故障原因は、想定するときりがありませんので、あまり考えすぎないで、テキストの範囲で素直に考察することが合格への近道といえます。      


2005年11月【No.24】

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