一級自動車整備士2005年11月【No.23】

シャシ電子制御

問題

スチール・ベルト式無段変速機(CVT)に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。




動力の伝達は,個々のスチール・ブロックがブーリと接触しながら次々と前側のブロックを押して動力を伝える圧縮型のベルトで行っている。

各プーリの可動シーブを同じ向きに配置することにより,変速に伴ってプーリの溝幅が変化してもスチール・ベルト中心を同じにできる。

運転条件に応じたライン・プレッシャを.セカンダリ・プーリの油圧室にかけ,スチール・ベルトの動力伝達に必要なベルト張力を制御している。あ

スチール・ブロックを連結する2本のスチール・パンドは,スチール・ブロックの左右溝に挿入されている。



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解説

CVTの要点をまとめましょう。

テキストの長文を短文に仕分けして覚えやすい形に工夫しましょう。

変速機構

・CVTは一対のプーリとスチール・ベルトによって構成されている。

・変速はプライマリ・プーリとセカンダリ・プーリのベルト巻き付け径を変える。

・ベルト巻き付き径はプライマリ・プーリの油圧制御で行う。

・プライマリ・プーリの油圧を高くすると、ベルト巻き付け径が大きくなる。

・プライマリ・プーリの油圧を低くすると、ベルト巻き付け径が小さくなる。

・ライン・プレッシャは、ベルト張力を制御している。

・ベルト張力制御は、動力伝達に必要なベルトとプーリ間の摩擦力を得る為のものである。

スチール・ベルト

・スチール・ベルトは数百個スチール・ブロックと2組のスチール・バンドで構成されている。

・スチール・バンドはスチール・ブロックを帯状に連結する。

・スチール・ベルトは圧縮型のベルトである。

・圧縮型ベルトは、スチール・ブロック一個一個がプーリと接触しながら、次々と前側のブロックを押して動力を伝える。

・スチール・ブロック全体で動力を分担し応力集中がないように設計されている。

・スチール・バンドは、スチール・ブロックの左右溝に挿入されている。

・スチール・バンドには、内径側に圧縮応力、外径側には引っ張り応力が発生する。

・スチール・バンドの応力は、板厚が薄い方が小さくなる。

・内径側のバンド長さと外径側バンド長さの差は11.3mmである。

・プーリの径が変化しても、バンド内外径差は11.3mmである。

・バンドは耐摩耗性・強じん性が要求され、高純度のマレージング鋼が使用されている。

・スチール・ブロックはプーリに挟まれて接触面の摩擦力で動力を伝達する。

・スチール・ブロックは,1箇所のエンボスと柔軟性のあるスチール・ベルトのみに支えられているため,プーリの斜面に確実に接触して動力を伝達している。

・スチール・ブロックは動力伝達に見合った押し付け力→スチール・バンド張力→ベルト張力が必要になる。

・スチール・ブロックがプーリ斜面に押し付けられ斜面と接触し効率よく動力の伝達が行われる。

プーリ

・プライマリ・プーリとセカンダリ・プーリは固定シーブと可動シーブが対向配置(点対称)される。

・固定シーブと可動シーブは同一傾斜面をもつ。

・可動シーブ側背面に油圧室(チャンバ)が設けてある。

・可動シーブはボール・スプラインにより軸上を移動しプーリの溝幅を変える。

・スチール・ベルトの最小巻き付け半径は伝達トルクに対するスチール・バンドの許容応力で決まる。

・最小巻き付き半径と設定変速比によりプーリ径、プーリの軸間距離が設定されている。

・傾斜角αはベルトの強度、傾斜面の面強度、制御油圧、制御速度等で効率のよい角度に設定される。

・ベルト張力は高速で回転するスチール・ベルトの遠心力も考慮して設定される。

・プライマリ・プーリの油圧室には変速に必要なプライマリ・プレッシャを加えるようになっている。

・プライマリ・プーリの油圧室の受圧面積はセカンダリ側の面積より大きい。

・プライマリ・プーリはライン・プレシャより小さな圧力で溝幅を制御できる。

・ブレーキ停止時には、ダウン・シフトを完了しなければならない。

・可動シーブの対向配置でベルトの中心線はほぼ一直線を保って平行移動する。

トルク・コンバータ

・スムーズな発進性と燃費の向上を図るためにロックアップ・クラッチ機能が内蔵されている。

オイル・ポンプ

・容積効率の高い固定容量型トロコイド式オイル・ポンプが使用されている。

整備・点検

・トランスミッションに用いられるフルードは,CVT専用のものを使用している。

上の要点項目で題意を検討すると(2)が不適切となる。

(2)各プーリの可動シーブを同じ向きに配置することにより,変速に伴ってプーリの溝幅が変化してもスチール・ベルト中心を同じにできる。

プライマリ・プーリとセカンダリ・プーリは固定シーブと可動シーブが対向配置(点対称)される。

用語の確認

点対称

面上で,ある図形を1つの点を中心として180度回転したとき,もう1つの図形にぴったり重ね合わせることができれば,この図形は点対称であるという。

線対称

一つの直線を折り目として折り返し、両側の部分がピッタリ重なる時、線対称な図形という。



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