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2級ガソリン自動車整備士・試験問題
2G 登録試験 2016年03月 問題18
図に示すプラネタリ・ギヤ・ユニットにおいて、サン・ギヤを固定し、インターナル・ギヤを750回転させたときにプラネタリ・キャリヤが500回転した場合のサン・ギヤの歯数として、適切なものは次のうちどれか。ただし、( )内の数値はギヤの歯数を示す。
解説
選択肢(2)が適切です。
インターナル・ギヤを1分間で750回転させたときにプラネタリ・キャリヤが同様1分間に500回転したという状況です。
750回転が500回転に落ちていますので、明らかに減速です。
入力と出力の関係を明確にしましょう。
\[ \begin{align*} \frac{出力ギヤ}{入力ギヤ} = \frac{プラネタリ・キャリヤ}{インターナル・ギヤ} \end{align*} \]
ギヤを考える上で重要な原則”中間のギヤは関係ない”を守ります。
ギヤを3つ以上かみ合わせても、中間のギヤは、回転数には影響を与えません。
プラネタリ・ピニオンのことはまったく考えないでよいのです。
インターナル・ギヤとプラネタリ・キャリヤだけを考えます。
与えられている情報データは、インターナル・ギヤの歯数(80)のみです。
回転速度は、歯数が多いほど移動円周が長くなりますから、速度が落ちますので、歯数と回転速度に反比例関係にあります。
また、プラネタリ・キャリヤの見かけの歯数は、サン・ギヤ$\Large{x}$とインターナルギヤの歯数を足したものです。
これがサン・ギヤ$\Large{x}$の情報を導き出す手掛かりになります。
この問題の求めるべきものは、サン・ギヤの歯数$\Large{x}$ですから、プラネタリ・キャリヤの見かけの歯数に含まれていることになります。
ギヤの与えられたデータはインターナル・ギヤの歯数のみで、インターナル・ギヤとプラネタリ・キャリヤの速度比はわかっているということです。
これらの情報からサン・ギヤの歯数$\Large{x}$に到達します。
プラネタリ・キャリヤの見かけの歯数=サン・ギヤの歯数$\Large{x}$+インターナル・ギヤの歯数
\[ \begin{align*} \require{cancel} \frac{プラネタリ・キャリヤ(歯数)}{インターナル・ギヤ(歯数)} &=\frac{80+x }{80} \\ \\ &= \displaystyle\frac{\displaystyle\frac{ 1}{500}} { \displaystyle\frac{1}{750} }\\ \\ & = \frac{750}{500} \\ \\ & = \frac{3}{2} \end{align*} \]
上の式は、ギヤ比がインターナル・ギヤが2に対してプラネタリ・キャリヤは3を意味します。
サン・ギヤの歯数$x$を上の式から求めると、
\[ \begin{align*} \hspace{50pt} \frac{80+x }{80} & = \frac{3}{2}\\ \\ 80 + x & = 80 \times \frac{3}{2} \\ \\ &= 120 \\ \\ x &= 120 -80 \\ \\ &= 40 \end{align*} \]
となります。
【参考知識】
回転体の速度を表す方法として以下の三つがあります。
①回転数
②周速(または周速度)
③角速度
回転数
回転数とは、単純に物体が回転する回数のことを指します。回転数というのは物の速さの概念がなく、機械系では単純に1分間に何回物が回転したのかを表します。一般的には1分間あたりの回転数を回転速度といい単位は[min-1]を使用します。
今回のギヤの回転の問題は、この単位系でよいと思います。
周速
一方で周速度というのは回転したときの速さです。同じ回転数でも回転する物の直径が大きいほど周速は速くなり、小さいほど周速は遅くなります。
例えば1m(1000mm)の直径のタイヤが1分間に1回転する時に進む距離=周速を求めたい場合、このタイヤの外周(円周)の長さ分だけ1分間に進むことになります。
角速度
エンジンのクランク軸の角速度とかが分かりやすいと思います。
ざっくりですが、100[rad/s]≒955[min-1]です。
あと、エンジンの速度といえば”平均ピストン速度”もよく用いれるため、試験にもよく出題されます。