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エンジン不調
エンジン不調という故障をダイアグノーシス・コードで確認したところ、異常コードが表示されなかったので、外部診断器を用いて点検を行い下表の測定結果を得た。推定原因として、適切なものは次のうちどれか。ただし、エンジンは暖機後のアイドリング状態とする。
水温 | ISCVデューティ(%) | エンジン回転速度 (min-1) |
O2センサ (mV) |
バキューム・センサ(kPa) | 噴射時間(ms) | |
標準値 | - | 39.0~39.8 | 750±100 | (400以下)と(600~900)間を変化する | 30~45 | 2.5~3.2 |
測定値 | 82℃ | 39.6 | 740 | 0一定 | 40 | 3.5 |
解説
複雑極まりない故障診断ですが、まずは異常データを見つけることから始めましょう。
標準値と測定値の比較を行います。
水温 | ISCVデューティ(%) | エンジン回転速度 (min-1) |
O2センサ (mV) |
バキューム・センサ(kPa) | 噴射時間(ms) | |
標準値 | - | 39.0~39.8 | 750±100 | (400以下)と(600~900)間を変化する | 30~45 | 2.5~3.2 |
測定値 | 82℃ | 39.6 | 740 | 0一定 | 40 | 3.5 |
出題者の意図としては、黄色いところのデータに気が付いてほしいと思って作っている思われます。
さて始めます。
水温異常なし。
問題の条件付きでエンジンは暖気後のアイドリング状態とのことですから、測定値82℃では水温センサの特性ずれは考えにくい。
SCVデューティ異常なし。
エンジン回転速度異常なし。
O2センサが0Vは異常。
バキューム・センサ異常なし。
噴射時間が標準値を超えています。
エンジンは暖機後のアイドリング状態ですから、 O2センサは活性化され通常通りに作動していると判断してよいでしょう。
O2センサは、排気ガス中の酸素濃度が濃い場合は約0.1V、薄い場合は約1Vです。
0Vということは、排ガス中のほとんどが酸素だということになります。
稀薄燃焼(リーン)の状態であるといえます。
燃料が少ししか噴射されていないということになります。
選択肢の中で燃料に関する項目は『燃圧の不足』がありますので、これが原因と推測されます。
燃圧が不足する
⇓
燃料供給量が減る
⇓
空燃比は希薄燃焼になる
エンジンECUは、O2センサ・フィードバック補正が稼働し噴射時間が長くなります。
与えられたデータでは3.5msで標準値の最大値3.2msを超えています。
O2センサの電圧0Vと噴射時間が標準値を超えているという二つの根拠により燃圧の不足が原因と推定されます。
バキューム・センサ系統のホース、フィルタの詰まりぎみ、センサ応答不良に関しては、アイドリング状態おいて希薄燃焼側になるとは限りません。
吸気系統のエアの吸い込みに関しては、アイドリング状態では回転速度が上昇します。
測定データから判断すると、エンジン回転速度とバキューム・センサの絶対圧が二つとも標準値に収まっているので、エアの吸い込みは考えにくい。
一級自動車整備士2005年03月【No.33】
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