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こもり音
4気筒ガソリン・エンジン搭載の後輪駆動マニュアル・トランスミッション車(FR式)を、車速65km/h、表の条件で走行したとき、約69Hzのこもり音が発生した。不具合要因として、適切なものは次のうちどれか。
トランスミッションの変速比:0.9(5速) 最終減速比:4.0 タイヤの有効半径:0.3.m |
解説
選択肢(2)が適切です。
プロペラ・シャフトのアンバランスによる振動周波数を求めます。
基本公式
車速V[km/h]= | エンジン回転速度N[min-1]
総減速比KT(KtKf) |
× 2πr× | 60
1000 |
{駆動軸回転速度} | {タイヤ円周} | 単位調整係数 |
プロペラ・シャフトの回転数は、エンジンの回転数N[min-1]をトランスミッションの変速比Ktで割ったもので、さらに、分速を秒速に換算するために60で割るため計算 公式は次のようになります。
エンジン回転速度N[min-1]
60秒×トランスミッション・ギヤ比Kt |
‥① |
= | 車速V[km/h]×ディファレンシャル・ギヤ比KF
2πr(タイヤ半径) |
× | 1000m
3600秒 |
② |
②式に題意のデータを代入してみましょう。
65[km/h]×4.0
2π×0.3 |
× | 1000m
3600秒 |
= | 65×4.0×10
2×3.14×0.3×36 |
= | 38.3Hz |
こもり音は約69Hzですから、これは不適切です。
次にエンジンのドルク変動による不具合時の振動周波数を計算する為に、
エンジンの回転速度を求めてみましょう。
次の式からエンジン回転速度N[min-1]を導く式に変形します。
車速V[km/h]= | エンジン回転速度N[min-1]
総減速比KT |
× 2πr× | 60
1000 |
{駆動軸回転速度} | {タイヤ円周} | 調整係数 |
エンジン回転速度 N[min-1 ]= |
車速V[km/h]×総減速比KT
2πr |
× | 1000
60 |
題意のデータを与式に代入してみましょう。
エンジン回転速度 N[min-1 ]= |
65×0.9×4.0
2×3.14×0.3 |
× | 1000
60 |
≒ | 2070[min-1]…③ |
4気筒エンジンの振動周波数f4[Hz]は1回転につき2回のトルク変動が発生しますから、
次のようになります。
f4[Hz]= | エンジン回転速度N[min-1]
60秒 |
× | 2 |
= | 2070[min-1]
60秒 |
× | 2 |
= | 69[Hz] |
よって、不具合要因としては、
エンジンのトルク変動が主たる原因であることが分かります。
プロベラ・シャフトのジョイント部には、
プロペラ・シャフト回転速度の2倍の振動周波数fpが表れます。
fp[Hz]= | エンジン回転速度N[min-1]
60秒×0.9 |
× | 2 |
= | 76.7[Hz] |
位相と振動周波数は別物です。
位相調整で振動の振幅が変化します。
振動周波数は、プロペラ・シャフト回転周波数の2倍が基本振動ですので、
位相ずれを問題にするのは不適切と判断されます。
または、プロペラ・シャフトのアンバランスによる振動周波数38.3Hzを2倍して、
76.6Hzを求めることができます。
最後に、クラッチ・カバーにアンバランスがある場合には、エンジン1回転において1回の回転変動がクラッチ・カバーに発生します。このときの振動周波数は、エンジン回転数③を分速から秒速に変換すると
2070[min-1]/60 =34.5[Hz]
となります。
これは、不適切です。
2級のトランスミッションと車速度の関係式はこちらを参照してください。
・エンジン回転数と車速の関係
一級小型自動車整備士2005年11月【No.32】
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