自動車整備士.com
複数条件の場合はキーワードの間にスペースを入れてください。Advertisement
Pバルブ(proportioning valve)
以下の文章で( )に当てはまるものとして、適切なものは次のうちどれか。
マスタ・シリンダ側の油圧が規定値に達すると、油圧がプランジャに作用する 面積(受圧面積)は(イ)側より(ロ)側の方が大きいのでプランジャは(ハ)に押され、マスタ・シリンダ側からホイール・シリンダ側への油路は(ニ)。
解説
選択肢(4)が適切です。
マスタ・シリンダ側の油圧が規定値に達すると、油圧がプランジャに作用する 面積(受圧面積)は(イ:マスタ・シリンダ)側より(ロ:ホイール・シリンダ)側の方が大きいのでプランジャは(ハ:下に)に押され、マスタ・シリンダ側からホイール・シリンダ側への油路は(ニ:閉じられる)。
作動は、問題文の説明の通りです。
圧力の定義は次の式で表される。
P | = | F
S |
P : 圧力[Pa]
F : 力[N]
S : ピストン面積[m2]
次に力の釣り合いを考えるために、力と圧力の関係は次のように形を変えます。
F = S×P [N]
上の定義によりプランジャに働く上向きの力をF1、プランジャの下向きの力をF2とします。
プランジャの面積を次のようにAとBとします。
プランジャの上向きに押されるときの受圧面積は、B面積からA面積を差し引いたB-Aとなります。
したがって、
F1 = (B-A) × P1
F2 = B×P2
となります。
P1: マスタ・シリンダ側の油圧
P2: リヤ・ホイール・シリンダ側の油圧
F1=F2のとき、
(B-A)×P1=B×P2
となりますが、スプリングのばね力が上向きに働いていますので、これをFSとすると上の式は、
(B-A)×P1+FS=B×P2
となります。
結局、知りたいP1とP2の関係は、次の式になります。
P2= | FS+(B-A)×P1
B |
= | FS
B |
+ | B-A
B |
×P1 |
‥…(1)
計算例
A面積 :6cm2(0.0006m2)
B面積 :9cm2(0.0009m2)
(B-A)面積:3cm2(0.0003m2)
スプリングのばね力:60N
マスタ・シリンダの油圧 | F1[N] | 不等号 | F2[N] | 油路 | プランジャ | 油圧 |
80kPaのとき | 84 | > | 72 | 開く | 静止 | P1=P2 |
100kPaのとき | 90 | = | 90 | 開く | 静止 | P1=P2 |
140kPaのとき | 102 | < | 126 | 閉じる | 下方移動 | P1>P2 |
マスタ・シリンダの油圧が140kPaのとき、F1[N]<F2[N]となり、プランジャは下に移動する。
そして、リップ・シールに接触し、油路を閉じます。
したがって、リヤ・ホイール・シリンダ側の油圧はマスタ・シリンダ側と同圧になる前に油路を閉じてしますので、式(1)より113kPaとなり、リヤ側の油圧は低く制御されます。
【参考図】
Today Yesterday
Total