Menu

自動車整備士.com

サイト内検索 help
複数条件の場合はキーワードの間にスペースを入れてください。

Advertisement

タンデム・マスタ・シリンダ

図に示す前後輪ニ系統ブレーキ・のタンデム・マスタ・シリンダに関する記述として、適切なものは次のうちどれか。

 ブレーキ・ペダルを踏むとプライマリ・ピストンが前進し、(イ)を過ぎるとセカンダリ・ピストンとの間に油圧が発生し、その油圧でリヤ系統のブレーキが作動する。

 このとき、油圧によって押されたセカンダリ・ピストンのピストン前部に発生した油圧で、フロント系統のブレーキが作動する。

 ペダルから足を離すと、リターン・スプリングと油圧によってピストンが戻されるのでピストン前部の油圧が下がり、(ロ)のブレーキ液はインレット・ポートとリターン・ポートからピストンの小穴を通ってピストン・カップ前方に吸い込まれる。

 ピストンが元の位置の位置に戻ると、ブレーキ・パイプ内のブレーキ液は、マスタ・シリンダの(ハ)を通ってリザーブ・タンクに戻る。

タンデム・マスタ・シリンダ

(イ) (ロ) (ハ)
インレット・ポート ブレーキ・パイプ内 リターン・ポート
インレット・ポート リザーブ・タンク内 ピストンの小穴
リターン・ポート ブレーキ・パイプ内 ピストンの小穴
リターン・ポート リザーブ・タンク内 リターン・ポート







解説

選択肢(1)が適切です。

ブレーキ・ペダルを踏むとプライマリ・ピストンが前進し、(イ:インレット・ポート)を過ぎるとセカンダリ・ピストンとの間に油圧が発生し、その油圧でリヤ系統のブレーキが作動する。

このとき、油圧によって押されたセカンダリ・ピストンのピストン前部に発生した油圧で、フロント系統のブレーキが作動する。

ペダルから足を離すと、リターン・スプリングと油圧によってピストンが戻されるのでピストン前部の油圧が下がり、(ロ:ブレーキ・パイプ内)のブレーキ液はインレット・ポートとリターン・ポートからピストンの小穴を通ってピストン・カップ前方に吸い込まれる。

ピストンが元の位置の位置に戻ると、ブレーキ・パイプ内のブレーキ液は、マスタ・シリンダの(ハ:リターン・ポート)を通ってリザーブ・タンクに戻る。

デュアル・マスタ・シリンダ(dual master cylinder)とも呼ばれます。

タンデム・マスタ・シリンダ(tandem master cylinder)は、2個のピストンを備えることにより油圧系統を独立したニ系統にし、一方が液洩れした場合でも、他の一方でブレーキ作用を確保するようにしたものです。

2個のピストンは、それぞれリターン・スプリングによって支持され、スプリングが収納されている部分は圧力室を形成しています。それぞれの圧力室には、ブレーキ液の送出口、補給口(インレット・ポート)及び戻り口(リターン・ポート)が 設けられています。


 
 

この問題は、ペダルを踏み込んだときと、離したときのブレーキ液の流れを問うものです。



 

タンデム・マスタ・シリンダのプライマリ・ピストンとセカンダリ・ピストンは、それぞれ独立しています。

 

さらに、フロント用ピストンの径とリヤ用ピストンの径は同じになっています。

セカンダリ・ピストンは、フロント・ブレーキに油圧を供給するためのものです。

リヤ系統に液漏れがあるとき

ペダルを踏んでも、プライマリ・ピイストンとセカンダリ・ピストンとの間には油圧が発生しないので、プライマリ・ピストンの先端が直接セカンダリ・ピストンを押し、フロント・ブレーキ系統だけが作用します。

フロント系統に液漏れがあるとき

セカンダリ・ピストンの前室には油圧が発生しないので、セカンダリ・ピストンの先端がシリンダ・ボデーに当って止まり、プライマリ・ピストンとセカンダリ・ピストンの間に油圧が発生し、リヤ・ブレーキ系統だけが作用します。


問題の部品とは異なりますが、サンプルを示します。

タンデム・マスタ・シリンダ

ブレーキが作動しない静止状態



プライマリ・ピストンの左側のピストン・カップ(PISTON CUP)とセカンダリ・ピストンの左側のピストン・カップは、セカンダリ・ピストンを位置決めするストッパ・ボルト(PISTON STOP BOLT)により、それぞれリターン・ポートとインレット・ポートとの間に位置しています。

piston cup:油圧機構で、シリンダから漏油を防ぐためピストンの先に入れるゴム・カップ。


Advertisement










Today  Yesterday Total