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CAN通信の規格
CAN通信の規格に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
解説
選択肢(1)が不適切です。
新問題ですね。
予想していましたが、さすが検定試験、一歩踏み込んできました。
(1)デジタル信号の「0」はドミナントといいメッセージの送受信の作動が行われていない。また,「1」はレセシブといい,メッセージの送受信の作動が行われている。
選択肢(1)が不適切です。
デジタル信号の「0」の領域は、メッセージの送受信の作動が行われている状態でドミナントといい、反対に「1」の領域は、メッセージの送受信の作動なしの状態でレセシブという。
高速CAN通信信号の組み合わせでは、ECUよりCAN-H線に信号が出力されると、その信号電流は、両端の終端抵抗に流れ、終端抵抗による電圧降下により、CAN-H線及びCAN-L線の間には、レセシブ0V(2.5V-2.5V)、ドミナント2V(3.5V-1.5V=2V)の電位差が発生します。
低速CAN通信信号の仕組みでは、ECUによりCANバスのCAN-L線に信号が出力されると、この信号電流は、CAN-L線とCAN-H線に設けられた抵抗により、CAN-L線及びCAN-H線の間には、レセシブ1.5V(3.25V-1.75V)、ドミナント3V(4V-1V)の電位差が発生します。
低速CAN通信では、この電位差(信号電圧=CAN-L-CAN-H)を用いてデジタル信号を作り、ドミナント3Vの電位差を発生している状態を「0」、レセシブ1.5Vの電位差が発生している状態を「1」としています。
このようにデジタル信号を作るにあたって、信号線間の電位差を用いる方式のものを ディファレンシャル・エンドといい、信号線と信号アース線間の電位差を用いる方式のものをシングル・エンドという。
メッセージのデータ構造を示します。
①スタトー・オブ・フレーム(1bit)
メッセージの始まりを示す。
②識別子フィールド(11bit)
複数のメッセージが同時に送信されそうになったときの優先順位を表す。
③コントロール・フィールド(6bit)
メッセージの信号量を表す。
④データ・フィールド(0-64bit)
実際の信号(0-64bit)
⑤CRCフレーム(16it)
送信の際に一定の演算を行った結果(演算値)を表し、信号を表したときに受信したユニットが、同じ演算を行い、メッセージ中の演算値と照合して通信が正常に受信したかを判定する。
⑥アック・フィールド(2bit)
正常受信信号を表す。「0」が書き込まれて送信され、正常に受信できたときに受信したユニットが「1」を書き込んで返信する。
⑦エンド・オブ・フレーム(7bit)
メッセージの終わりを表す。(7bitの「1」)
⑧インタ・フレーム・スペース(2-11bit)
メッセージ間の区切りを表す。(2-11bitの「1」)
CAN通信システム
低速・高速の二つの通信速度をもつ通信信号を使用し、データ通信速度が最大125kbps~1Mbpsの高速側CANバスを高速側CAN中央ECUが管理し、125kbpsの低速側CANバスを低速側CAN中央ECUが管理している。このほか、通信データの信号入出力判定及びデータ・エラーに関する通信上のトラブルの管理を行っている。
ゲートウェイECU(プロトコル・コンバータ:信号変換器)は、低速側と高速側の異なるデータ通信速度の変換とCANバスの仕様が異なる信号規格の変換を行い、低速側と高速側の相互間の通信の信頼性を確保している。
高速側の2個の終端抵抗は、CANバス信号の信号電位差(CAN-H-CAN-L)の確保と信号電圧に反射が発生することによる通信データの不良を防止する役目を担っている抵抗で、低速側の2個の終端抵抗は、プル・アップ抵抗で、信号電圧の減衰を防ぎ、信号精度の向上を図ります。
終端抵抗は、特定のECUに内蔵されています。
CAN通信の物理的仕様の規格は、データ・リンク層と物理層があり、データ・リンク層では、電気信号からデータ構成に関わるフレームへの変換、送信データの優先順位の管理、メッセージの受け渡し報告、エラーの検出や確認判定の定義を、物理層では、物理的な特性や仕様としてのbitの同期、タイミング、トランシーバ及びCANバス特性の定義を行っています。
終端抵抗には、高速側CANバス・ラインに設けられているパッシブ・タイプとアクティブ・タイプがある。
パッシブ・タイプは、単純に抵抗を追加しているが、アクティブ・タイプは、ボルテージ・レギュレータと抵抗の組み合わせで用いている。
余談
OSI参照モデルでは、図のように通信機能やルールを7つの階層構造(レイヤ)に分割して規定しています。
OSI参照モデルは、データがネットワークを通じて流れていくあり方を階層(レイヤ)化して、各階層に分担された役割と階層間のやり方を論理的に規定したものです。
第7層 |
アプリケーション層 | ユーザーが直接かかわる通信サービスを規定 |
第6層 |
プレゼンテーション層 | 圧縮方式や文字コードなどのデータ表現を規定 |
第5層 |
セッション層 | ンピュータ間のコネクションや切断などの手順を規定 |
第4層 |
トランスポート層 | 誤り訂正の方法や再送制御などの通信管理を規定 |
第3層 |
ネットワーク層 | データの通信経路を選択する方法(ルーティング)を規定 |
第2層 |
データリンク層 | 通信機器レベルの送信元とあて先を特定する方法やエラー検出方法などを規定 |
第1層 |
物理層 | 電気信号の変換方法を定めたり、コネクタの形状などを規定する |
車のCAN通信システムもこれを参照にしたものです。
「K」と「k」
最近はあまり気にしないようですが、
k=103=1000
K=210=1024
が厳密ですが、時代と共に混同されているようです。
CAN通信は、電気回路的に分定数回路に扱われます。
すなわち回路の長さによって電圧分布がことなり、整合性を上手に取らないと、
反射波が発生して厄介なことになります。
終端抵抗によりハイ・インピーダンスにすることによって、しっかり
信号電圧を受けとろうという考え方です。
合格するためには、テキストの熟読が一番。
余談は忘れてください。
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