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新小型特殊自動車とはなんですか?

ご存知の方も多いと思いますが、”新小型特殊自動車”について説明します。

”新小型特殊自動車”が道路運送車両法の試験対策に必要かと訊かれたら、正直に言えば必要ありません。

ただ、道路運送車両法の勉強を兼ねながら、新小型特殊自動車について学んでいこうと思います。

二級の基本的な過去問題です。

2G 登録試験 2020年03月

問題37

「道路運送車両法」及び「道路運送車両法施行規則」に照らし、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、運行の用に供してはならない自動車に該当しないものは次のうちどれか。

①小型特殊自動車

②検査対象軽自動車

③四輪の小型自動車

④普通自動車

解説

上の問題は、検査についてのはなしですから検査の有無を調べればよいわけです。

自動車の種別による登録・検査などおよび手続先をまとめた表です。

自動車の種別 登録 検査 使用の届出 手続先
普通自動車 運輸支局
小型自動車 三輪以上 運輸支局
二輪 運輸支局
軽自動車 二輪以上 軽自動車協会
二輪 運輸支局
小型特殊自動車 区市町村
大型特殊自動車 運輸支局
原動機付自転車 区市町村

問題と表を照らし合わせると、検査に〇がないのは上の問題の選択肢の中で小型特殊自動車とわかります。

従って正解は①となります。

さて、ここで特殊自動車の規定を確認しておきましょう。

道路運送車両法施行規則別表第一(第二条関係)

道路運送車両法施行規則とは道路運送車両法及び道路運送車両法施行法の規定に基き、並びにこれらの法律を実施するために定められているものです。)

自動車の
種別
自動車の構造及び原動機
大型特殊
自動車
  1. 次に掲げる自動車であって、小型特殊自動車以外のもの
    イ. ショベル・ローダ、タイヤ・ローラ、ロード・ローラ、グレーダ、ロード・スタビライザ、スクレーパ、ロータリ除雪自動車、アスファルト・フィニッシャ、タイヤ・ドーザ、モータ・スイーパ、ダンパ、ホイール・ハンマ、ホイール・ブレーカ、フォーク・リフト、フォーク・ローダ、ホイール・クレーン、ストラドル・キャリヤ、ターレット式構内運搬自動車、自動車の車台が屈折して操向する構造の自動車、国土交通大臣の指定する構造のカタピラを有する自動車及び国土交通大臣の指定する特殊な構造を有する自動車
    ロ. 農耕トラクタ、農業用薬剤散布車、刈取脱穀作業車、田植機及び国土交通大臣の指定する農耕作業用自動車
  2. ポール・トレーラ及び、国土交通大臣の指定する特殊な構造を有する自動車
小型特殊
自動車
  • 上記の自動車であって、自動車の大きさが下欄に該当するもののうち、最高速度15km毎時以下のもの
  • 自動車の長さ 4.70m以下、幅 1.70m以下、高さ 2.80mm以下
  • 上記 ロ の自動車であって最高速度35km毎時未満のもの

この表でも”新小型特殊自動車”という用語は出てきません。

私どもくるま屋的には”新小型特殊自動車”という名称は無いようです。

例えば特殊自動車である農耕用トラクターを道路走行させようとすると、下記のような各種法令の規制対象が関わってきます。

法律の名称 主な規制対象 主な規則
① 道路運送車両法 車両 車両の保安基準
②道路交通法 運転者 運転免許
③ 道路法 車両 特殊車両運行許可
④ 地方税法 車両の所有者 ナンバープレートの取付け

道路交通法の目線から特殊自動車をとらえてみましょう。

小型特殊自動車 新小型特殊自動車 大型特殊自動車
農耕車以外 農耕車両
運転免許 大型免許、
普通免許、
大型特殊免許、
二輪免許、
二種免許、
小型特殊免許
のいずれか
大型特殊自動車免許
長さ(m) 4.7(m) 4.7(m) 制限なし 制限なし
幅(m) 1.7(m) 1.7(m) 制限なし 制限なし
高さ(m) 2.0(m) 2.8(m) 制限なし 制限なし
最高速度
(km/h)
15km/h以下 15km/h以下 35km/h以下 農耕車:35km/h以下
その他:15km/h以下
排気量
(cc)
制限なし 制限なし
車検 不要 不要 必要
自賠責保険 農耕車は不要
その他の車は必要
農耕車は不要
その他の車は必要
必要
軽自動車税 軽自動車税 固定資産税
(償却資産)

(ただし全高については、ヘッドガード等を除いた部分が2.0m以下で、ヘッドガード等を含めた高さが2.8m以下の場合)

「ヘッドガード等」とは、ヘッドガード、安全キャブ、安全フレームその他これらに類する装置をいい、運転席の周囲に取り付けることにより転倒時、荷の落下時等における運転者の安全性を向上させるためのフレーム状又は箱状の装置を指し、ヘッドガード、安全キャブ及び安全フレームのほか、運転者を降雨、日差し等から保護するための装置を安全フレームに取り付けたもの(キャノピ)、農薬等の散布時に薬剤から運転者を守るためのビニールを安全フレームに取り付けたもの(薬剤被曝防止用キャビン)等がこれに当たる。ヘッドガード等を除いた部分の高さを判断する場合、ヘッドガード等に装着されている後写鏡、作業灯等の付属物については、当該高さに含めないこと。 (平成16年6月23日「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令の一部の施行に伴う交通警察の運営について」より抜粋・引用。)

ここで初めて”新小型特殊自動車”が出てきました。

分かりやすいイメージを描くために、普通自動車免許で5ナンバーの四輪の小型自動車を運転することを想定します。

5ナンバー車の最大寸法は、全長4.70m以下、全幅1.70m以下、全高2.00m以下です。エンジン排気量では2,000ccまで。(ディーゼル車は排気量の制限なし)。

このことから、

普通自動車免許=全高2.00m以下

という基準があるともいえます。

道路運送車両法における小型特殊自動車の高さは、全高2.80m以下です。

普通自動車免許で運転できるのは、道路交通法における全高2.00m以下の小型特殊自動車でなければ高さ制限に矛盾が生じてしまいます。

全高2.80mの小型特殊自動車を運転するには、操作方法や構造が乗用車やトラックと異なるため、大型特殊自動車免許という免許が必要となります。

全高2.80m未満の小型特殊自動車のことを、道路交通法では新たに”新小型特殊自動車”と定義したというわけです。

全高2.80mの小型特殊自動車を普通自動車免許で、公道を走行すると、無免許運転なるということが重要ポイントです。


新小型特殊自動車とは

道路交通法で規定される車両であり、運転には大型特殊自動車免許証が必要です

ここで述べてきた「小型特殊自動車運転免許、大型特殊自動車免許」は大型特殊自動車・新小型特殊自動車を公道で運転する際に必要な免許だということですが、 例えば、実際に業務として特殊自動車であるフォークリフトを運転するためには、小型特殊自動車免許、または大型特殊自動車免許を取得し、さらには所定の講習を受け「フォークリフト運転技能講習」という修了証を取得する必要があります。

農業分野においては道路運送車両法の基準緩和(2019年4月により)、一定の条件を満たせば作業機(ロータリー等)を装着したトラクタで公道走行が可能となりましたが、これまで上で述べた通り大型特殊自動車免許が必要な場合があります。

そのため、大型特殊自動車免許の取得を希望される農業者が多数おられることが想定されています。

ただし、農業車のみを対象にした「農耕車限定」という限定免許があり、国や自治体も取得を推進しているようです。

大型特殊免許(農耕用含む)の取得方法には二つあります。

①運転免許試験場で学科試験や実技試験を行い一発合格を目指す方法

②農業大学校が実施しているトラクター運転技能研修を受け実技試験の練習を行った後実技試験を受ける方法

農耕作業用自動車(トラクターなど)や工場等で使用されるフォークリフトなどの小型特殊自動車を所有している場合は、軽自動車税の申告をしてナンバープレート(課税標識)の交付を受ける必要があります。

標識(ナンバー)交付を受けても、公道走行できない車両もありますのでご注意ください。あくまでも、市町村から交付される標識(ナンバー)は公道走行を許可するものではなく、地方税法による課税標識となります。

小型特殊自動車標識(農耕作業用・そのほか)の一例

物流センターや製造工場の倉庫管理で運用されるフォークリフト等特殊自動車を整備する場合もあるかもしれませんので、新小型特殊自動車をテーマにすこしまとめてみました。

少しでもご参考になれば幸いです。

法令番外編

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理容・美容車-特種用途自動車

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