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理容・美容車-特種用途自動車

理容・美容車-特種用途自動車について法令の勉強を兼ねて述べます。

超高齢社会を迎えた日本における消費者の多様なニーズへの対応と、適切な衛生水準の確保を図る観点から、理美容業における移動理美容車が増えるんじゃないかなと思っていました。

床屋さんに行きたくてもいけない方、行きたくても床屋さんがなかったりするので、床屋さんに車で来てもらえば助かる方々も多いのではないでしょうか。

海外では、市中や郊外でなんか自由にくるまで床屋さんを開いているように見えます。

上の移動床屋さんは恐らくマレーシアじゃないかと思いますが(車種はダイハツ)、米国でも英国でもMobile Barbershop や Mobile hair cuts とか車体に描いて商売している写真もあります。

日本では移動の床屋さんはどうなっているんだろうかと疑問を持ちましたが、恐らく天下の道路運送車両法という壁が立ちはだかり簡単に上手いこといかないと想像しました。

早速ですが、整備屋の原理原則は道路運送車両法ですから、そこから確認してみます。

自動車の用途は、自動車の構造・装置により、乗用、乗合、貨物又は特種の4用途に区分されています。

特種用途自動車(いわゆる8ナンバー車)とは、特種な用途に応じた設備を有する自動車であって、車体の形状として、キャンピング車、救急車等78の車体形状があり、その構造要件は、自動車交通局長通達で定められています。

特種用途自動車とは、緊急車、冷蔵・冷凍車のように特種な用途に応じた設備を有るものをいい、大型特殊自動車とは、除雪車、ブルドーザー等のように特殊の構造を有するものだととらえると分かりやすいと思います。

特殊用途自動車の分類

特種用途自動車の使用目的により次の3区分とし、それに対応した車体の形状に分類しました。

(自動車の用途等の区分について(依命通達)を引用):通達とは役人用語で、上位の行政機関(例えば大臣)の代わりにその補助機関(例えば事務次官または局長)が代理して通達(通知)を発することがあるが,これを一般に「依命通達(通知)」というらしいです。

それで、この通達なるものが、特種用途自動車の構造のルールというわけです。

4-1-1 専ら緊急の用に供するための自動車(13車体形状)

救急車、消防車、警察車、臓器移植用緊急輸送車、保線作業車、検察庁車、緊急警備車、防衛庁車、電波監視車、公共応急作業車、護送車、血液輸送車、交通事故調査用緊急車

4-1-2 法令等で特定される事業を遂行するための自動車(13車体形状)

給水車、医療防疫車、採血車、軌道兼用車、図書館車、郵便車、移動電話車、路上試験車、教習車、霊柩車、広報車、放送中継車、理容・美容車

4-1-3 特種な目的に専ら使用するための上記以外の自動車(52車体形状)

粉粒体運搬車、タンク車、現金輸送車、アスファルト運搬車、コンクリートミキサー車、冷蔵冷凍車、活魚運搬車、保温車、販売車、散水車、塵芥車、糞尿車、ボートトレーラ、オートバイトレーラ、スノーモービルトレーラ、 患者輸送車、車いす移動車、消毒車、寝具乾燥車、入浴車、ボイラー車、検査測定車、穴堀建柱車、ウインチ車、クレーン車、くい打車、コンクリート作業車、コンベア車、道路作業車、梯子車、ポンプ車、コンプレッサー車、農業作業車、クレーン用台車、空港作業車、構内作業車、工作車、工業作業車、レッカー車、写真撮影車、事務室車、加工車、食堂車、清掃車、電気作業車、電源車、照明車、架線修理車、高所作業車 、キャンピング車、放送宣伝車、キャンピングトレーラ

構造要件の原則

(1) 特種な設備が占有する面積要件

特種な設備の占有する面積が、1m2以上(軽自動車は0.6m2以上)あり、かつ、運転者席(運転者席と並列の座席を含む。)より後方に備えた特種な設備の占有する面積が、運転者席を除く客室の床面積、物品積載設備の床面積及び特種な設備の占有する面積の合計面積の2分の1を超えていること。

(2) 特種な設備の車体等への固定方式

特種な設備は、ボルト、リベット又は溶接により確実に車体に固定されていること。(両面テープ、針金等による特種な設備の設置は、ここでいう「固定」には該当しません。)

さらに細かく見ていきます。

用途区分通達4-1-2の自動車(13形状の中の理容・美容車)

車体の形状 理容・美容車
構造要件 理容師法又は美容師法の規定に基づき、都道府県知事 に理容所又は美容所として届出をした者が、理容業務又 は美容業務(以下「理容業務等」という。)を行うために使用する自動車であって、次の各号に掲げる構造上の 要件を満足しているものをいう。 なお、用途区分通達4-1-3  2.★の規定は、本車体の形状には適用しないものとする。
  1. 理容業務等を行うために必要な理容器具、美容器具、消毒用具等の設備を有すること。
  2. 1.の設置場所は、採光、照明及び換気装置を有すること。
  3. 理容業務等を受ける者の用に供する椅子を有してお り、当該椅子は乗車装置の座席と兼用でないこと。
  4. 理容業務等を受けるための者の用に供する椅子の付近には、一辺が30cmの正方形を含む0.5m2以上の作業用床面積を有しており、かつ、当該床面から上方 1,600mm以上の空間を有すること。
  5. 物品積載設備を有していないこと。
留意事項
  • 理容作業に伴って使用する必要最小限の工具等を積載するための最大積載量500kg以下の装置は、この場合の物品積載設備と見なさないものとする。
  • 理容師法(昭和22年法律第234号)第11条(理容所の開設の届出)に基づき、都道府県知事に理容所として届出をした者であることを証する書面の写しの提出を求めるものとする
  • 美容師法(昭和32年法律第163号)第11条(美容所の位置等の届出)に基づき、都道府県知事に美容所として届出をした者であることを証する書面の写しの提出を求めるものとする

★4-1-3 特種な目的に専ら使用するための自動車 特種な目的に専ら使用するため、次の1.から3.の全てを満足する自動車
‥‥

  1. 乗車設備及び物品積載設備を最大に利用した状態で 水平かつ平坦な面(以下「 基準面」という。)に特種な設備を投影した場合の面積(以下「特種な設備の占有する面積」という。)が1m2 軽自動車にあっては 0.6m2 以上であること 。

‥‥

これらの規定を満たした移動理美容車は、株式会社・三協精機さんやオオシマ自工株式会社さんなどが販売しています。

次はクルマの問題から、理美容師さんの法的問題が立ちはだかります。

しかし、規制緩和による2016年4月から美容師法が改正されて以来、年々移動美容室などの出張サービスの需要は高まりつつあります。

最近の規制緩和は、労働人口の減少に伴う労働者不足を解決するために徐々に規制を緩め新規参入者の障壁を弱めて産業の活性化を図ろうとする流れでしょう。

原則として美容師は、「美容室」以外でサービスを提供することが法律で規制されています。

なぜなら美容室や理容室のような場所は、店舗の開設時に衛生面を中心とした厳しい基準が多く定められているからです。

美容師法

第7条 美容師は、美容所以外の場所において、美容の業をしてはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合には、この限りでない。

理容師法

第6条の二 理容師は、理容所以外において、その業をしてはならない。ただし、政令で定めるところにより、特別の事情がある場合には、理容所以外の場所においてその業を行うことができる。

政令で定める特別の事情

  • 疾病やその他の理由により、理美容所に行けない者に対して理美容サービスを提供する場合
  • 婚礼やその他の儀式に参列する者に対して、その儀式の直前に理美容サービスを行う場合
  • 山間部などの理美容所のない地域に住んでいる者に対して、現地で施術を行う場合
  • 社会福祉施設などの入居者に理美容サービスを行う場合
  • 演劇に出演する者などに対して、出演直前などに施術を行う場合


理容・美容車の最大の問題点は、面積基準を管轄する厚生労働省が決めていません。

厚生労働省の見解は移動車両でも施術中は移動はしないため、移動式というだけの理由で全国統一の面積基準を設定する必要はないということらしいです。

様々な既得権とか地方と都市の駐車場問題とか他省庁とぶつかるところがあるのか、いずれにしても同じクルマで東京でokでも大阪ではダメということもあり得るわけです。

余談ですが理容と美容の違いは何でしょうか。

理容とは、頭髪の刈込、顔そりなどの方法により容姿を整えること と定められていています。

一方、美容はパーマ、結髪、化粧、カラーなどで容姿を美しくすること と定められており、美容ではカミソリの使用が禁止されています。

美容では、顔剃り用途はもちろん、襟足やもみあげの処理においてもカミソリは使用できず、バリカンやハサミでおこなう必要があるそうです。

さて、道路運送車両法的には、上に述べてきた通りですが、ビジネスを始めるには各都道府県の保健所が窓口になります。

保健所の定義では、理容・美容車のことを”移動理美容所車両”としています。

移動理美容所車両とは、自動車に設備を設けて理容または美容の業を行う施設のことをいい、通常の理容所または美容所(固定施設)として取り扱います。

開設に関する手続きでは、施設の基準などについて、事前に相談のようです。

車体の構造

車両を移動理美容車として利用するには、様々な構造基準を満たす必要があります。シャンプー台や洗い場から、照明や給水槽などの細かい設備まで定められているのです。

とある市の構造基準では、

といったことが設備面で定められています。

さらに

必要があるのです。

やはり上の規定をみると床面積基準が厳しくなっています。

規定を守った床面積だと大型(4トン級)クラスの理容・美容車です。

四輪の小型自動車2台分以上の駐車場が必要なため狭い日本では、何かと仕事がしにくいでと思われます。

東京都の移動理美容車の面積基準は、「業務の実施及び衛生の保持に支障がない十分な広さを有すること」と緩和されています。

繰り返しになりますが、全国統一の基準は設けられていないため、結局は各自治体の判断に委ねられているのです。

作業面積(洗面台1台 鏡1~2台)が5.1m2~5.6m2以下で2トン車程度の理容・美容車には、小型トラック、ハイエース、エルグランドなどがあり活躍しているようです。

まずは、移動床屋さんを開業する地域のルールを調べ上げることが重要だということになります。

【1坪(畳2枚分)1.8m×1.8m=約3.3m2

移動床屋さんを開業するには、特種用途自動車-理容・美容車を準備し、さらに保健所、実際には厚生労働省医薬・生活衛生局の規定に合格しなければなりません。

まとめると

移動美容室開業に必要な手続き

①各都道府県保健所への届け出(保健所所長の確認を受ける)

②理容師、美容師免許など

③普通自動車の運転免許証

を提出します。

8ナンバーの申請には、使用者の業を特定するために提出を求めている書面・使用者特定書面(理容師法に基づき、都道府県知事に理容所として届出をした者であることを証する書面の写しの提出を求めるものとする)が必要です。

開業までには専門的な知識が必要になり、行政書士さんの力を借りるのかもしれませんね。

理容店を開くより理容・美容車が資金をおさえられるかもしれませんが、それ以上に経営計画やマーケティングを立てるのが大変かもしれません。

整備屋さんの中には、整備工場によって特殊自動車から特種用途自動車まで仕事している方もおられると思います。

ときには理容・美容車が入庫するかもしれませんね。あるいは移動の床屋さんについて整備士として助言を求められることも万が一あるかもしれません。

上の写真は約100年前の英国の移動の床屋さんです。

規制も何もなかったのでしょうか。

上の写真は、米国の Mobile barber shopです。

今後、日本では規制緩和が、運転免許、理容師法、道路運送車両法など様々な分野まで徐々にですが広がっていくものと思われます。

今回は規制緩和の一例として特種用途自動車-理容・美容車つについて少し述べてみました。

最後になりましたが、自動車登録番号標

分類番号 8、自動車の種類 特殊用途自動車(パトカーや教習車などそして理容・美容車など)

です。

車検有効期限による分類番号

ナンバー 分類番号 頭数字 車検有効期限
1、2、4、6、8(車種による) 1年
3、5、7、8(車種による) 2年

自動車用途による分類番号

分類番号(ナンバー) 自動車の範囲
1、10~19、100~199 貨物の運送に用に供する普通自動車
2、20~29、200~299 人の運送の用に供する乗車定員11人以上の普通自動車
3、30~39、300~399 人の運送の用に供する乗車定員10人以下の普通自動車
4、6、40~49、60~69、400~499、600~699 貨物の運送の用に供する小型自動車
5、7、50~59、70~79、500~599、700~799 人の運送の用に供する小型自動車
8、80~89、800~899 散水自動車・理美容車・霊柩自動車・その他特種の用途に供する普通自動車及び小型自動車
9、90~99、900~999 大型特殊自動車
0、00~09、000~099 自動車抵当法第2条ただし書に規定する大型特殊自動車

ひらがな及びローマ字 自動車の区分
あいうえかきくけこを 自動車の運送事業の用に供する自動車
さすせそたちつてとなにぬねのはひふほまみむめもやゆらりるろ 自家用自動車
れわ 道路運送法施行規制第52条の規定により受けた許可に係わる自家用自動車(レンタカーなど)
EHKMTYよ 日本国籍を有しない者が所有する自家用自動車で、法令の規定により関税又は物品税が免除されているもの及び運輸大臣が指定するもの

法令番外編

新小型特殊自動車とはなんですか?

理容・美容車-特種用途自動車

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