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ビート音
一級小型自動車整備士2003年11月【No.37】
6気筒ガソリン・エンジン搭載の後輪駆動車(FR式)を表の条件で走行したとき、90~105Hzの間でビート音が発生した。この場合の不具合要因に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
車速 | 80km/h |
トランスミッションの変速比 | 0.7(4速ロックアップON) |
最終減速比 | 4.0 |
タイヤの有効半径 | 0.3m |
電動ファンの回転速度 | 2700min-1 |
解説
選択肢(4)が適切です。
回転速度に関するおさらいは、エンジン回転速度と車速 を参照してください。
ビート音(beat noise)とは、高速道路など滑らかな路面を70~110km/hで走行中に感じられることのある周波数60~120Hzで毎秒2~4回聞こえるうなり音です。
タイヤの不均一性が原因となって発生する振動の高次成分等と、エンジンやプロペラ・シャフト系から発生する振動の振動数が近いとき、双方の音が干渉して起こります。
つまり2つの近接する振動数が干渉したノイズということができます。
次の振動数を求めます。
①エンジンのトルク変動周波数
②電動ファンのアンバランスによる振動周波数
③プロペラ・シャフトのジョイントの位相ずれによる振動周波数
④プロペラ・シャフトの振動周波数
4速の変速比をK4=0.7、ファイナル・ギヤの減速比KF=4.0と表すこととします。
①エンジンのトルク変動周波数
公式を利用します。
車速 V[km/h]= |
エンジン回転速度N[min-1]
総減速比KT |
× 2πr× | 60
1000 |
上式を変形し、数値を代入します。
エンジン回転速度 N[min-1 ]= |
車速V[km/h]×総減速比KT
2πr |
× | 1000
60 |
= | 80×0.7×4.0
2×3.14×0.3 |
× | 1000
60 |
≒1982[min-1] |
気筒エンジンのトルク変動に振動周波数。
1982[min-1]
60[秒] |
×3≒99[Hz] |
②電動ファンのアンバランスによる振動周波数
題意により、つぎのようになります。
2700[min-1]
60[秒] |
=45[Hz] |
③プロペラ・シャフトのジョイントの位相ずれによる振動周波数
題意により、つぎのようになります。
エンジン回転速度 N[min-1] 60[秒]×K4 |
×2= | 1982[min-1]
60[秒]×0.7 |
×2= | ≒94[Hz] |
④プロペラ・シャフトの振動周波数
題意により、つぎのようになります。
エンジン回転速度N[min-1]
60[秒]×K4 |
= | 1982[min-1]
60[秒]×0.7 |
= | ≒47[Hz] |
データを比べてみます。
プロペラ・シャフトの振動周波数 | 47[Hz] | 6気筒エンジンのトルク変動に振動周波数 | 99[Hz] |
電動ファンのアンバランスによる振動周波数 | 45[Hz] | プロペラ・シャフトのジョイントの位相ずれによる振動周波数 | 94[Hz] |
上記の表は、2組の干渉系が存在していることを示しますが、
題意により90~105Hzの間でビート音という条件では選択肢は
「プロペラ・シャフトのユニバーサル・ジョイントの位相ずれ」と
「エンジンのトルク変動」しかありませんので、(4)が答えになります。
もし、計算方法を忘れたとしても、直感で解いてみましょう。
ビートはある特定の車速度で発生します。
スピードは80km/hです。
考えられるのは、エンジンのトルク変動とプロベラ・シャフトの位相ずれでしょう。
プロペラシャフトのアンバランスによる振動は、プロペラシャフトの回転数と同じですから、
高速では、位相ずれによる振動のより優先順位は後です。
ですから、車速から、おおよその原因は推測できます。
関連用語
「クー」という異音(1級)
タイヤの振動・騒音
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