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三元触媒
排出ガス浄化装置に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
解説
選択肢(1)が適切です。
三級ガソリン・エンジンからの出題です。
(1)二次空気導入装置は、低温始動時などの排気ガス中のCO、HCを再燃焼させ、触媒の活性化を早め、CO、HC、NOxの排出を低減させる装置である。
この説明通りです。
(2) 触媒コンバータに用いられる三元触媒は、酸化作用及び還元作用の働きにより、排気ガス中のCO2、H2O、N2をCO、HC、NOxにそれぞれ変えて浄化している。
この選択肢は不適切です。
正しくは、以下の通りです。
触媒コンバータに用いられる三元触媒は、酸化作用及び還元作用の働きにより、排気ガス中のCO、HC、NOxをCO2、H2O、N2にそれぞれ変えて浄化している。
有害 無害
CO ⇒ CO2 二酸化炭素
HC ⇒ H2O 水
NOx ⇒ N2 窒素
これは驚くべき化学の技術です。
(3)減速時制御装置は、減速時に混合気が薄くなり過ぎて、NOxが増大することを防止するための装置である。
正しくは以下の通りです。
減速時制御装置は、減速時に混合気が濃くなり過ぎて、HCが増大することを防止するための装置である。
(4)EGR装置は、燃焼ガスの最高温度を下げてHCの低減を図っている。
正しくは以下の通りです。
EGR装置は、燃焼ガスの最高温度を下げてNOxの低減を図っている。
三元触媒
自動車整備士の化学は、過去問の余計な資料として準備しました。
試験ではここまで細かいことは出題されませんので、既出問題を深めるための参考程度にしていただければと思います。
自動車整備工学では、何気なく酸化・還元という用語がエンジンの浄化機構に使われますが、基礎を確認します。
表にまとめると以下の通りです。
酸 素 |
水 素 |
電 子 |
酸化数 |
|
酸 化 |
得 る |
失 う |
失 う |
増加 |
還 元 |
失 う |
得 る |
得 る |
減少 |
たとえば酸化銅(Ⅱ)を水素と反応させたとき、
CuO+H2 → Cu+H2O
CuOはOを失ったので、還元されており、H2はOを得たので酸化されたわけです。
一般に、酸化と還元は同時におこり(酸化還元反応の同時性)、それぞれの反応が単独に起こることはありません。そこで、このような反応を酸化還元反応といいます。
還元触媒
還元触媒は触媒コンバータで最初に使用される部分です。
反応の前後で白金、ロジウムおよびパラジウム自体は変化しないが、少量でも反応速度に影響を与える物質を触媒といいます。
三元触媒の”三元”は、白金、パラジウム、ロジウムの三元素という意味ではなく、HC、CO、NOxの三つを同時に浄化するという意味の三元です。
白金とロジウムが使用され、NOx 排ガスを減らします。
NO または NO2 の微粒子が触媒に触れると、触媒によって窒素原子が分子から分離されて触媒に付着し、酸素が O2 の形で自由になります。
窒素原子は、触媒に付着している他の窒素原子と結合して N2になります。
次にその例を示します。
2CO + 2NO → 2CO2 + N2
HC + NO → CO2 + H2O + N2
NOは酸素を失い還元されました。
すなわち、NOはCOあるいはHCによりN2に転化され無害化されました。
酸化触媒
酸化触媒は、触媒コンバータで 2 番目に使用される部分です。
ここでは未燃焼炭化水素および一酸化炭素を、 白金とパラジウムの触媒で燃焼 (酸化) させることによって減らします。
この触媒は、排ガス中に残された酸素によって CO および炭化水素の反応を助けます。
次にその例を示します。
2CO + O2 → 2CO2
HC + O2 → CO2 + H2O すなわち、COとHCはO2によりH2OとCO2に酸化されました。
CO、HC、NOxの3成分がすべて有効に除去されるには、空燃比が上図のように狭いウィンドウの範囲でなければなりません。
O2センサにて空燃比を最適範囲に収めるように制御します。
ちなみに触媒とは、化学反応の前後で自分自身は変化せず、反応だけを促進する物質をいいます。
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