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2級自動車整備士・試験問題

電気回路計算問題(平衡状態)

図に示す回路において、電圧計Vが示す電圧値が0Vの場合、抵抗Rの抵抗値として、適切なものは次のうちどれか。ただし、バッテリ及び配線の抵抗はないものとし、電圧計の内部抵抗は無限大とする。

12Ω

15Ω

25Ω

40Ω


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解説

直感的に問題を解いてみます。

まず、重要な条件が与えられていることに着目します。

内部抵抗が無限大の電圧計が測定値0Vだということです。

20Ωの両端電圧と10Ωの両端電圧が等しいので、上の図のa点の電位とb点の電位の電位差(電圧)は、0Vになっていると説明がつきます。

さて、12Vの電源電圧は、20Ωと30Ωの直列接続部には、20対30の割合で電圧がかかっていると思ってよい。

30/20で、1.5ですから、1対1.5の割合で電圧がかかているはずです。

ということは、10ΩとRにも1対1.5の割合で電圧がかかっていると思われます。

これを10Ωを基準とすれば、10Ω対15Ωであるということになります。

すなわち、R=15Ωということで選択肢(2)が適切です。

この方法は、計算を一切用いることがありませんが、電圧の平衡状態という特殊の条件をある時のみに有効な手段です。

この問題では、真ん中の電圧計が0V(平衡状態)ですよとさりげなく極めて重要な条件を言いのけています。

難しい方法で電流を用いて、それから抵抗Rを求めることは結構厄介なものです。

今回の特別な特徴としては、対称性のある回路であるということです。

上下枝路の抵抗比に対称性があれば、簡単に解けることを取り上げたということです。

下記で説明するものは、試験に出ることはないと考えられますが、今回の問題は特別な条件が成立する場合は限り簡単に抵抗を求めることができるということを述べています。

下図に示すような、 電源 $\ E $ と検流計(超高感度の電流計) $\ G $ および4つの抵抗 $\ R_{1} $、 \( R_{2} \)、 \( R_{3} \)、 \( R_{4} \) から構成された回路はホイートストンブリッジ回路と呼ばれています。

ホイートストンブリッジ回路で、 検流計G に電流が流れない特別な状態のことを平衡状態といいます。

上の問題では、真ん中の電圧計が0Vですよと同じ意味で、電圧としての平衡状態で、電流で言っているか電圧で言っているかの違いです。

この平衡状態が成立するための条件、すなわち、平衡条件とは何かということを説明します。

まず、状況として検流計に電流が流れないということは、 枝路abの電位差と枝路acの電位差が等しい、言い換えれば枝路bdの電位差と枝路cdの電位差が等しいということになります。

b-c間の二点間の電圧の差、すなわち電位差がなければ電流が流れようがありませんね。

もう少し詳しく考えると、分岐点 a で分岐した電流が枝路 abd及び枝路 acdを通って点 d で合流する電流経路になっており、平衡状態においては b-c間には一切、電流は流れないのです。

分岐点 aに流入する電流を \( I_{0} \) 、 枝路abdを通る電流を $\ I_1 $ 、 枝路acdを通る電流を $\ I_2 $ と表すと、電源と分担電圧の関係(キルヒホッフの第2法則)をまとめると以下のようになります。

簡単に言えば、バッテリ等の電源の電圧は、各抵抗の分担電圧の合計電圧に等しいということです。

さらに、並列接続回路ですから、電源電圧は各枝路に対して同電圧、すなわち共通電圧 $\ E $になっています。

\[ \begin{align*} \ E = & V_1 + V_3 \\ \\ = & R_{1}I_{1} + R_{3}I_{1} \notag \\ \\ = & (R_{1} + R_{3})I_{1} \notag \\ \\ \ E = & V_2 + V_4 \\ \\ = & R_{2}I_{2} + R_{4}I_{2} \notag \\ \\ = & (R_{2} + R_{4})I_{2} \notag \\ \end{align*} \]

$\ I_1 $ 、$\ I_2 $を求めます。

\[ \begin{align*} \ I_{1} &= \frac{E}{R_{1}+ R_{3}} \notag \\ \\ \ I_{2} &= \frac{E}{R_{2}+ R_{4}} \notag \\ \end{align*} \]

上の式より、合流点dを基準電位としたときの b-d間 およびc-d間の電位差 \( V_{b-d} \) 、 \( V_{c-d} \) はオームの法則($\ V=R \times I $)をもちいて分担電圧と抵抗比の関係から次式のようになります。

\[ \begin{align*} V_{b-d} = & R_3 \times I_{1} \\ \\ = & R_3 \times \frac{E}{R_{1}+ R_{3}} \\ \\ = & \frac{R_{3}}{R_{1}+ R_{3}}E \notag \\ \\ V_{c-d} =& R_4 \times I_{2} \\ \\ = & R_4 \times \frac{E}{R_{2}+ R_{4}} \\ \\ = & \frac{R_{4}}{R_{2}+ R_{4}}E . \notag \end{align*} \]

特別な電位状態である平衡状態では、 \( V_{b-d}=V_{c-d} \) の関係が成立していますので、次のようにまとめることができます。

\[\begin{align*} \ V_{b-d}= & V_{c-d} \notag \\ \\ \frac{R_{3}}{R_{1}+ R_{3}} \cancel{E} = & \frac{R_{4}}{R_{2}+ R_{4} } \cancel{E} \nonumber \\ \\ \frac{R_{3}}{R_{1}+ R_{3}} = & \frac{R_{4}}{R_{2}+ R_{4}} \notag \\ \\ \ R_3 (R_2 + R_4 ) = & R_4 (R_1 + R_3) \notag \\ \\ \ R_2 R_3 + \cancel{R_3 R_4} = & R_1 R_4 + \cancel{ R_3 R_4 } \notag \\ \\ \ R_{2}R_{3} = R_{1}R_{4} \ & \iff \ \frac{R_{1}}{R_{2}} = \frac{R_{3}}{R_{4}} \phantom{20} (1) \\ \\ \end{align*}\]

この式(1)をホイートストンブリッジ回路の平衡条件とよんでいて、とても重要な式です。

要は抵抗の配置は、対称性の性質を持っているかどうかがポイントだということです。

あるいは、抵抗配置がバランスが取れているかどうかが問題だということになります。

オームの法則 $\ V=R \times I $ は、電圧と抵抗は比例関係にありますから、電圧がバランスが取れてれば抵抗もバランスが取れていることになり、逆に抵抗のバランスが取れていれば、電圧のバランスが取れていることを意味していて、ひとつの重要な考え方となります。

今回の問題を、ホイートストンブリッジ回路の平衡条件から求めてみます。

\[ \begin{align*} \frac{ 20 } { 10 } = & \frac{ 30 } {R} \\ \\ R = & \frac{ 10} {20} \times 30 \\ \\ = & \frac{ 300} {20} \\ \\ = & 15 \Omega \\ \end{align*} \]

結果は、やはり15Ωとなります。

慣れてくると抵抗の比をとったりします。

\[ \begin{align*} 20 : 30 = & 10 : R \\ \\ 20 \times R = & 10 \times 30 \\ \\ R = & \frac{ 10} {20} \times 30 \\ \\ = & \frac{ 300} {20} \\ \\ = & 15 \Omega \\ \end{align*} \]

平衡条件の説明はけっこう厄介ですが、ようは抵抗配置に対称性があるかどうかが重要だということです。

その対称性の有無を教えてくれるのは、真ん中の電圧計が$\ 0V $、あるいは真ん中の電流計が$\ 0A $であることがその根拠となります。

電気回路計算問題(平衡状態)

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