整備士ドットコム
Jidoshaseibishi.com
複数条件の場合はキーワードの間にスペースを入れてください。2級ガソリン自動車整備士・試験問題
2G 登録試験 2022年03月 問題23
回転速度差感応式差動制限型ディファレンシャルに内蔵されたビスカス・カップリングについて、次の文章の(イ)と(ロ)に当てはまるものとして、下の組み合わせのうち、適切なものはどれか。
ビスカス・カップリングは、左右の駆動輪に回転速度差が生じると、プレート間にある(イ)による抵抗が生じ、(ロ)へトルクが伝達される。
解説
ビスカス・カップリングは、左右の駆動輪に回転速度差が生じると、プレート間にある(イ:シリコン・オイル)による抵抗が生じ、(口:高回転側から低回転側)ヘトルクが伝達される。
ビスカスカップリングシリコンオイルの持つ粘性により,オイルがせん断される時に発生するせん断応力を利用してトルク伝達を行うもので,一種の液体クラッチといえます。
ビスカス・カップリングの構造
ビスカス・カップリングは、円筒型のケースに多数の「クラッチ・プレート」という円盤がシャフトにつながるかたちで並行に内臓されています。
この円盤をインナー・プレートといい、インナー・プレートの円盤と円盤のあいだには、円筒ケースにくっついているアウター・プレートが交互に配置されています。
ケース内には粘性の高いシリコン・オイルが入れられており、インナー・プレートとアウター・プレートが並行に回ることになります。
両回転軸の回転速度が同じである場合は、アウター、インナー・プレート間にあるシリコン・オイルはプレートと同回転し、粘性による抵抗は生じません。
回転軸の速度差が生じてくるとオイルとプレートの間に摩擦が発生し始めます。
すると、より回転の速い側のプレートは、シリコン・オイルに引きずられるような状態となり、速度を失います。
この現象では、プレートに接触しているシリコン・オイルの分子が、プレートと同回転で動こうとするため、アウター、インナー・プレートに回転差が生じると分子間が引っ張られ、せん断応力を生じます。
回転差がシリコンオイルをせん断し、引きずる力を利用して伝達トルクを生じさせています。
力で考えると、回転数の大きいアウター・プレート(N2)には回転方向と逆方向に抵抗F2が働きます。
反対に回転の遅い側のプレートは、摩擦で引っ張られることで回転速度が上がります。
力で考えると、回転数の小さいインナー・プレート(N1)には、抵抗F2と同じ大きさのF1が回転方向に作用します。
すなわち、入力側と出力側の回転差が大きい状態が続くと、高粘度シリコンオイルの発熱による体積膨張が起こり、内部のプレート同士が接触し、高い摩擦トルクを発生することになります。
結果的に左右の駆動輪に回転速度差が生じると、プレート間にあるシリコン・オイルによる抵抗が生じ、高回転側から低回転側ヘトルクが伝達されることになります。
またさらに回転差が大きくなると、オイルが摩擦熱により膨張し両プレートが押し付けられて密着してしまいます。
この状態を「ハンプ現象」といいます。
ハンプ現象が起きると両回転軸は直結されたことになります。