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2級ガソリン自動車整備士・試験問題
2G 登録試験 2025年10月 問題15
スター結線式オルタネータに関する次の文章の(イ)から(ハ)に当てはまるものとして、下の組み合わせのうち、適切なものはどれか。
中性点ダイオード付きオルタネータは、 中性点電圧が出力電圧を超えたとき、及び中性点電圧が アース電位を下回ったときの電圧(交流分)を(イ)に加算し、(ロ)における (ハ)の増加を図っている。
中性点ダイオード付きオルタネータは、 中性点電圧が出力電圧を超えたとき、及び中性点電圧が アース電位を下回ったときの電圧(交流分)を(イ)に加算し、(ロ)における (ハ)の増加を図っている。
(1) (イ)直流出力 (口)低速回転時 (ハ) 出力電流
(2) (イ)直流出力 (口)高速回転時 (ハ)出力電流
(3) (イ)交流出力 (口)高速回転時 (ハ)出力電圧
(4) (イ)交流出力 (口)低速回転時 (ハ)出力電圧
解説
中性点ダイオード付きオルタネータは、中性点電圧が出力電圧を超えたとき、及び中性点電圧がアース電位を下回ったときの電圧(交流分)を(イ:直流出力)に加算し、(ロ:高速回転時)における(ハ:出力電流)の増加を図っている。
選択肢(2)が適切となります。
中性点ダイオード付きオルタネータが高速回転時の出力電流増加を図る動作原理は、交流三相巻線の未利用電圧(中性点電位)を回収し、直流出力に加算する点にあります。
これは、標準的な三相全波整流回路では捨てられていた高次の高調波成分(特に6次高調波)を再利用する技術です。
- 標準的な三相全波整流(ブリッジ回路)
スター結線された三相巻線(U, V, W)を持つ通常のオルタネータでは、各相の電圧のピーク付近しか利用されません。- 三相交流を全波整流するための6個のダイオード(整流器)は、常に最も電圧の高い相と最も電圧の低い相の電位差を利用して電流を流します。
- このとき、各相巻線の中性点(ニュートラル・ポイント)の電位は、巻線のリアクタンス(誘導性抵抗)の影響で、直流出力電圧の約1/2の電位を中心に変動しています。
- しかし、通常のオルタネータでは、この中性点の電位は利用されず、中性点電流は0(ゼロ)と見なされます。
- 中性点ダイオードの追加とその動作原理
中性点ダイオードは、この中性点(N)と直流出力端子(B+)およびアース(E/B-)の間にそれぞれ接続されます。- 中性点電圧の変動(交流分)の回収
エンジンが高回転になると、交流電圧の周波数($f$)が高くなり、巻線が持つ誘導性リアクタンス($X_L = 2\pi f L$)が増加します。このリアクタンス増加により、中性点電位の変動(交流成分)が大きくなります。 - 中性点ダイオードの役割
中性点ダイオードは、この変動する中性点電位の未利用のエネルギ(高調波成分)を直流出力に加算します。
- 中性点ダイオード(上側):中性点(N)$\to$ 直流出力(B+)
- 中性点電位が、直流出力電圧($V_{B+}$)を超えたときに導通します。
- これは、中性点の電位が正の方向に高く変動したときに、その電圧をB+端子へ流し込み、充電電流を増加させます。
- 中性点ダイオード(下側):アース(E)$\to$ 中性点(N)
- 中性点電位が、アース電位($V_E = 0\text{V}$)を下回ったときに導通します。
- これは、中性点の電位が負の方向に低く変動したときに、アースからN点に電流を流すことで、実質的な出力電圧を高く(リップルを減らして平均値を高く)保つことに貢献します。
- 中性点ダイオード(上側):中性点(N)$\to$ 直流出力(B+)
- 高速回転時の出力増加
- 特に高速回転時は、上記の理由で中性点の電位変動(交流分)が大きくなるため、中性点ダイオードが導通する時間と電圧が高くなります。
- これにより、標準的な整流回路では回収できなかった高次の高調波エネルギを回収し、直流出力に加算することで、オルタネータの出力電流を効率的に増加させることができます。
要するに、中性点ダイオードは、メインの整流ダイオードが電力を取り出せない電圧の谷間で働くことで、オルタネータ全体の発電効率を高めています。 - 中性点電圧の変動(交流分)の回収