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2級ガソリン自動車整備士・試験問題
2G 登録試験 2025年10月 問題16
図に示すインテグラル型油圧式パワーステアリング(ロータリ・バルブ式)に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1) ローダは、スリーブにかん合している。
(2) ロータリ・バルブはスリーブとロータで構成されている。
(3) 操舵時は、トーションバーのねじれ角に応じてロータが回転し、油路を切り替える。
(4) ハンドルの操舵力は、ウォーム・シャフト、トーションバー、スタブシャフトの順に伝達される。
解説
(1)ローダは、スリーブにかん合している。
選択肢(1)は、適切です。
(2)ロータリ・バルブはスリーブとロータで構成されている。
選択肢(2)も適切です。
(3)操舵時は、トーションバーのねじれ角に応じてロータが回転し、油路を切り替える。
選択肢(3)も適切です。
(4)ハンドルの操舵力は、ウォーム・シャフト、トーションバー、スタブシャフトの順に伝達される。
選択肢(4)が不適切です。
正しくは以下の通りです。
ハンドルの操舵力は、スタブ・シャフト、トーション・バー、ウォーム・シャフトの順に伝達される。
≪参考≫
インテグラル型油圧式パワーステアリング(ロータリ・バルブ式)の動作原理は、トーション・バーのねじれを利用して油圧を制御し、パワー・ピストンを動かすことで操舵力をアシストする仕組みです。
動作の主な流れ
- 直進走行時(操舵しない時)
- スタブ・シャフト、トーション・バー、ウォーム・シャフトにねじれは生じていません。
- ロータ(スプール・バルブ)とスリーブが一体となっており、ロータリ・バルブは中立位置にあります。
- オイル・ポンプから送られてきた油圧オイルは、ロータリ・バルブの中立位置を通って、パワー・ピストンの両室へほぼ等しい圧力で流れ込み、そのままリザーブ・タンクへ戻る油路(オープンセンター)が形成されています。このため、パワー・ピストンには油圧差が生じず、操舵アシストは行われません。
- 操舵開始時(右に回す場合など)
- ハンドルを回すと、操舵力はまずスタブ・シャフトに伝わります。
- スタブ・シャフトとウォーム・シャフトはトーション・バーで結合されています。ウォーム・シャフトは、操舵初期にはまだ路面からの抵抗で動こうとしません。
- このため、スタブ・シャフトとウォーム・シャフトの間にねじれ(相対変位)がトーション・バーに生じます。このねじれ角度が操舵トルクの大きさに対応します。
- このねじれにより、スタブ・シャフトに結合されているロータ(スプール・バルブ)が、ウォーム・シャフトに結合されているスリーブに対して相対的に回転します。
- このロータとスリーブの相対回転により、油路が切り替わります。右旋回(例えば)に必要な側のパワー・ピストン室への油路が開き(油圧が上昇)、反対側の室への油路はリザーブ・タンクへの戻り油路が開く(または油路が絞られ、油圧が低下)ように油圧差が作られます。
- アシスト力の発生と復元
- ロータリ・バルブで生じた油圧差により、パワー・ピストンに力が作用し、ウォーム・シャフトを回転させる方向に油圧アシスト力が発生します。
- このアシスト力とドライバーの操舵力により、ウォーム・シャフトが回転し、セクタ・シャフトの歯車と噛み合って車両のタイヤを操舵します。
- ウォーム・シャフトが回転し始めると、それに結合されているスリーブも追従して回転し、ロータとスリーブの相対的なねじれ角が小さくなります。
- ロータとスリーブの相対位置が元の中立位置に戻ると、両側の油路のバランスが回復し、パワー・ピストンへの油圧差が解消され、アシストが停止します。これにより、ステアリングの操作が止まればアシストも止まり、ドライバーに適切な操舵フィーリングを提供します。
トーション・バーの役割
トーション・バーは、このシステムの核となる部分です。
- 操舵力の検知と油圧制御:
運転者の操舵トルクをねじれ角として検知し、そのねじれ角に応じた油圧制御(アシスト力の大きさ)を可能にしています。 - フェイルセーフ機能:
油圧システムが機能しない(エンジン停止など)場合、トーション・バーのねじれが大きくなり、最終的にスタブ・シャフトのストッパ部がウォーム・シャフトを直接回転させることで、油圧アシストなしの手動操舵を可能にします。
このシステムは、バルブとアクチュエータが一体のギヤボックスに内蔵されているため「インテグラル型」と呼ばれ、大型車などで信頼性と強度を求められる用途に広く使われています。