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複数条件の場合はキーワードの間にスペースを入れてください。2級ガソリン自動車整備士・試験問題
2G 登録試験 2025年10月 問題28
解説
(1)ABS は、制動力とコーナリング・フォースの両方を確保するため、タイヤのスリップ率を50%前後に収めるように制動力を制御する装置である。
選択肢(1)は、不適切です。
正しくは以下の通りです。
ABSは、制動力とコーナリング・フォースの両方を確保するため、タイヤのスリップ率を20%前後に収めるように制動力を制御する装置である。
(2)ECUは、各車輪速センサ、スイッチなどからの信号により、路面の状況などに応じた適切な制御を判断し、ハイドロリック・ユニットに作動信号を出力する。
選択肢(2)が、適切です。
(3)ハイドロリック・ユニットは、ECUからの駆動信号により各ブレーキの液圧の制御とエンジンの出力制御を行っている。
選択肢(3)は、不適切です。
正しくは以下の通りです。
ハイドロリック・ユニット部は、ECUからの駆動信号により各ブレーキの液圧の制御を行っている。
(4)ABSの電子制御機構に断線、短絡、電源の異常などの故障が発生した場合でも、 ABS の電子制御機構は継続して作動する。
選択肢(4)も不適切です。
正しくは以下の通りです。
ABSの電子制御機構に断線、短絡、電源の異常などの故障が発生すると、電子制御機構は作動せず、通常のブレーキ装置の制動作用と同じになる。
ABSの機能と特徴
電子制御式ABSは、緊急時の急ブレーキなどで車輪がロック(回転停止)するのを防ぎ、制動距離の短縮と車両の安定性・操舵性(ハンドル操作)の確保を目的とした安全装置です。
主な特徴の確認
- スリップ率の制御:
- 「ABSは、制動力とコーナリング・フォースの両方を確保するため、タイヤのスリップ率を20%前後に収めるように制動力を制御する装置である。」
- これは正しい認識です。タイヤが路面をグリップし、最大の摩擦力(制動力と横力)を発揮できる最適なスリップ率が、一般的に10~30%程度(路面状況による)とされており、ABSはこの範囲を目標に制動力を断続的に調整します。
- ECU(電子制御ユニット)の役割:
- 「ECUは、各車輪速センサ、スイッチなどからの信号により、路面の状況などに応じた適切な制御を判断し、ハイドロリック・ユニットに作動信号を出力する。」
- ECUはシステム全体の頭脳であり、各センサーからの情報に基づき、瞬時にロック回避のための液圧制御を指令します。
- ハイドロリック・ユニットの役割:
- 「ハイドロリック・ユニット部は、ECUからの駆動信号により各ブレーキの液圧の制御を行っている。」
- これはアクチュエータ(作動装置)の役割を示しており、ECUの指示を受けてブレーキフルードの圧力を増圧・減圧・保持することで、タイヤのロックを防ぎます。
- ウォーニング・ランプ(警告灯)の点灯:
- 「ECUは、センサの信号系統、アクチュエータの作動信号系統及びECU自体に異常が発生した場合には、ABSウォーニング・ランプを点灯させる。」
- これはフェイルセーフ機能の一つです。異常を検知した際は運転者に知らせ、ABS制御を停止させます。
- 車輪速センサのロータ:
- 「車輪速センサの車輪速度検出用ロータは、各ドライブ・シャフトなどに取り付けられており、車輪と同じ速度で回転している。」
- ロータ(歯車状の部品)の回転を車輪速センサが検知することで、ECUは個々の車輪速度を把握します。取り付け位置はドライブ・シャフトのほか、ハブやベアリングに組み込まれている場合もあります。
故障時のフェイルセーフ制御
「ABSの電子制御機構に断線、短絡、電源の異常などの故障が発生すると、電子制御機構は作動せず、通常のブレーキ装置の制動作用と同じになる。」
この記述は、ABSのフェイルセーフ(安全機能)制御に関する説明として非常に重要です。
- 異常の検知と警告:
- ECUがシステム内の断線、短絡(ショート)、電源異常、あるいはセンサやアクチュエータの異常など、ABSの正常な作動を妨げる故障を検知します。
- 検知と同時に、ECUはABSウォーニング・ランプを点灯(または点滅)させ、運転者にシステムの異常を知らせます。
- ABS機能の停止(カット):
- 異常が検知された場合、ECUは安全を期してABS制御を行うためのハイドロリック・ユニットへの電源供給を停止したり、制御バルブを作動させないようにします(リレーのOFFなど)。
- 通常のブレーキ機能の維持:
- ABSの制御系統は停止しますが、車両に元々備わっている油圧式の基本的なブレーキ系統(マスターシリンダー、ブレーキパイプ、キャリパーなど)は生きたままです。
- このため、ABSが作動しない状態、すなわち、「通常のブレーキ装置の制動作用」に戻ります。
通常のブレーキ作用とは
ABSが作動しない状態では、ドライバーがブレーキペダルを踏み込むと、その踏力に応じたブレーキ液圧が各車輪に伝わり、そのまま制動が行われます。
- 危険性: 路面が滑りやすい状況や極端な急ブレーキ時には、タイヤがロックしやすくなります。
- 結果: タイヤがロックすると、制動距離が伸びる可能性があり、またハンドル操作による回避行動(操舵性)も不可能になります。
ABS警告灯が点灯した場合は、速やかに整備工場での点検・修理が必要ですが、通常のブレーキ機能は維持されているため、慌てずに安全な運転を続けることが可能です(ただし、急ブレーキや滑りやすい路面での運転には特に注意が必要です)。