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複数条件の場合はキーワードの間にスペースを入れてください。2級ガソリン自動車整備士・試験問題
2G 登録試験 2025年10月 問題02
解説
(1)体積効率と充填効率は、平地や高山など気圧の低い場所でも差はほとんどない。
選択肢(1)は、不適切です。
正しくは以下の通りです。
体積効率と充填効率は、平地ではほとんど同じであるが、高山など気圧の低い場所では差を生じる。
ガソリンエンジンにおける「体積効率(volumetric efficiency)」と「充填効率(charging efficiency)」は、似て非なる概念です。
特に高地など気圧の低い環境では、その違いが顕著になります。以下に述べます。
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| 体積効率 | 吸気行程で理論上吸入できる空気体積に対して、実際に吸入された空気体積の比率。単位は%。 |
| 充填効率 | 吸気行程で理論上吸入できる空気質量に対して、実際に吸入された空気質量の比率。単位は%。 |
平地 vs 高地での違い
平地(標準大気圧:約101.3 kPa)
- 空気密度が高いため、吸入空気の体積と質量の関係が安定。
- 体積効率 ≒ 充填効率(ほぼ一致)
高地(例:標高2000m、気圧:約80 kPa)
- 空気密度が低下(酸素分子が少ない)
- 同じ体積の空気でも質量(酸素量)が少ない
結果:
- 体積効率はあまり変化しない(空気は入ってくる)
- 充填効率は低下する(酸素が少ないため燃焼効率が落ちる)
なぜ差が生じるのか?
- エンジンはピストンの動きで一定体積の空気を吸い込むが、空気の密度が低いと質量が減る。
- つまり、見かけの吸気量(体積)は同じでも、実際の燃焼に使える酸素量(質量)は減る。
- これが「体積効率は維持されるが、充填効率が低下する」理由です。
実用的な影響
- 高地ではエンジン出力が低下する(酸素不足による燃焼効率低下)
- ターボチャージャーやスーパーチャージャーはこの問題を補うために使われる(加圧吸気で密度を回復)
(2)ポンプ損失 (ポンピング・ロス)は、冷却水の温度、潤滑油の粘度のほかに回転速度による影響が大きい。
選択肢(2)も不適切です。
正しくは以下の通りです。
ポンプ損失(ポンピング・ロス)とは、燃焼ガスの排出及び混合気を吸入するための動力損失をいう。
(3)機械損失は、ピストン、 ピストンリング、各ベアリングなどの摩擦損失と、 ウォータ・ポンプ、オイルポンプ、オルタネータなど補機駆動の損失からなっている。
選択肢(3)が適切です。
エンジンの性能における機械損失には、主に以下の2つの種類の損失が含まれます。
- 摩擦損失: ピストンやピストンリング、クランクシャフトやカムシャフトの各ベアリングなど、エンジン内部の可動部分の摩擦によって生じる損失です。これには、ピストンがシリンダー内で上下する際の摩擦や、回転軸の摩擦が含まれます。
- 補機駆動による損失: エンジンが駆動するウォーターポンプ、オイルポンプ、オルタネーター、冷却ファンなどの補機が消費するエネルギーの損失です。これらの補機はエンジンの動力を利用して作動するため、その駆動によってエンジンの出力が一部消費されます。
(4)熱効率のうち図示熱効率とは、 理論サイクルにおいて仕事に変えることのできる熱量と、 供給する熱量との割合をいう。
選択肢(4)は、不適切です。
正しくは以下の通りです。
熱効率のうち図示熱効率とは、シリンダ内の作動ガスがピストンに与えた仕事を熱量に換算したものと、供給した熱量との割合をいう。
図示熱効率(indicated thermal efficiency)は、シリンダ内の作動ガスがピストンに対して行った仕事量(図示仕事)を熱量に換算したものと、燃焼により供給された熱量との割合を示します。これはエンジンの理想的な熱効率に近く、次のように定義されます。
\[ % ディスプレイ数式表示 % 分数表示 \frac{分子}{分母} 図示熱効率 = \frac{ピストンが受けた仕事量}{燃焼によって供給された熱量} \]
図示熱効率は、シリンダ内の熱エネルギがどれだけ有効に機械的な仕事に変換されているかを評価する指標であり、エンジン設計や燃焼効率の改善を図る上で重要な要素です。
理論熱効率(theoretical thermal efficiency)とは、理論サイクル(例えば、オットーサイクルやディーゼルサイクル)に基づく理想的な条件のもとで、供給された熱量がどれだけ仕事に変換されるかを示す割合です。
\[ 理論熱効率 = \frac{仕事に変換できる理想的な熱量} {供給された熱量} \]
この理論熱効率は、エンジンの理想的な熱効率であり、実際のエンジン性能と比較する指標として使われます。