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2級ガソリン自動車整備士・試験問題

2G 登録試験 2025年10月 問題29

図に示すタイヤと路面間の摩擦係数とタイヤのスリップ率の関係を表した特性曲線図において、「路面の摩擦係数が高いブレーキ特性曲線」として、 AからDのうち、適切なものは次のうちどれか。
(1) A
(2) B
(3) C
(4) D

解説

「路面の摩擦係数が高いブレーキ特性曲線」はAです。

A:路面の摩擦係数が高いブレーキ特性曲線

B:路面の摩擦係数が低いブレーキ特性曲線

C:路面の摩擦係数が高いコーナリング特性曲線

D:路面の摩擦係数が低いコーナリング特性曲線

この問題は、答えを覚えてしまえば簡単な問題です。

しかし、制動と操舵に関するとても重要な特性図であるため、出題者もよく理解してほしいという思いで、たびたび出題しています。

この図は、タイヤのスリップ率(滑り具合)と摩擦係数(路面とのグリップ力)との関係を示すもので、車の「制動性能(ブレーキ時)」や「操舵安定性(コーナリング時)」を理解する上で非常に重要な特性図です。

以下にその重要性を整理して解説します。

① 図の基本構造

横軸は「スリップ率(%)」、縦軸は「摩擦係数(μ)」を示します。

スリップ率とは、タイヤの回転速度と実際の車速のズレを示すもので、

② ブレーキ特性曲線(A・B)

ブレーキ時の摩擦係数は、スリップ率が 約20%前後で最大 となり、これを超えると減少します。

つまり、スリップ率が小さすぎても(0~10%)ブレーキが弱く、大きすぎても(30%以上)滑ってしまって制動力が低下します。

最大制動力を発揮する理想的なスリップ率が約20%付近にある ことがわかります。

③ コーナリング特性曲線(C・D)

こちらはブレーキ特性と異なり、スリップ率が増加するにつれて 摩擦係数は単調に減少 します。

つまり、滑りが大きくなるほど「タイヤが横方向の力(コーナリング・フォース)」を出せなくなり、最終的にスリップ率が100%(ロック状態)になると、操舵力・方向安定性はほぼゼロ になります。

車が滑っている間はハンドル操作が効かなくなる、という危険性を明確に示しています。

④ ロック状態の危険性

スリップ率100%では、ブレーキ自体はある程度効いていても(摩擦係数が少し残っている)

コーナリング・フォースはほぼ消失します。

したがって、

という極めて危険な状態になります。

⑤ ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の意義

ABSはこの特性を活かして、スリップ率が 10〜20%の範囲(最適領域) に保たれるよう制御します。

これにより、

という理想的なバランスを実現しています。

⑥ 図の重要性まとめ

項目意味・重要性
スリップ率と摩擦係数の関係タイヤがどの程度滑るとグリップが最大になるかを理解できる
ブレーキ特性曲線最大制動力が得られるスリップ率を示す(約20%)
コーナリング特性曲線スリップが増えると操舵力が失われることを示す
ABSの必要性スリップ率を最適範囲に保つことで安全と制動性能を両立
車両安定性の理解ロック=直進滑走・スピンという危険を防ぐ理論的根拠

結論

この特性図は、車の安全な制動と操舵安定性を理解する上で最も基本的かつ重要な資料です。

ABSやトラクション・コントロールなどの制御技術は、この図に示される「スリップ率と摩擦の関係」を基礎理論として設計されています。

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