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複数条件の場合はキーワードの間にスペースを入れてください。2級ガソリン自動車整備士・試験問題
2G 登録試験 2023年03月 問題19
CVT(スチール・ベルトを用いたベルト式無段変速機)に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
解説
(1)Lレンジ時は、変速領域をプーリ比の最Low付近にのみ制限することで、強力な駆動力及びエンジン・ブレーキを確保する。
選択肢(1)は、適切です。
1.変速作動による変速比(例)
・ECUがアクセル開度、エンジン回転速度、車速により車両走行状態を検出し、これに適したプーリ比(変速比)となるようにプライマリ・プーリの可動シーブ(油圧室)に掛かる作動油圧を制御します。
・プーリ比は各プーリの接触半径をプライマリ、セカンダリでそれぞれ $r_1$、$r_2$ と表わしたとき、プーリ比$= \frac{r_2}{r_1}$ で表わされます。
\[ \begin{align*} ・&最Low プーリ比&=\frac{r_1}{r_2}=2.432 \\ \\ &最High プーリ比&=\frac{r_2}{r_1}=0.423 \end{align*} \]
2. 変速領域
・変速比は様々に設定されています。
① D レンジ
・最$Low$から最$High$までの変速領域で変速を行います。
② L レンジ(B)
・最$Low$付近のみに制限して、強力な駆動力及びエンジン・ブレーキを確保します。
③ S モード
・$High$側の変速領域を制限することにより、プーリ比が全体的に高くなり常に大きな機動力及びエンジン・ブレーキを発生させる。
一般にシフトポジションLにBを使用しているのは、主にトヨタとダイハツのCVT車、およびトヨタ系のハイブリッドカーです。
(2)スチール・ベルトは、エレメントの引っ張り作用によって動力が伝達されている。
選択肢(2)が不適切です。
正しくは以下の通りです。
スチール・ベルトは、エレメントの圧縮作用(エレメントの押し出し)によって動力が伝達されている。
(3)プーリ比が小さい(High側)ときは、プライマリ・プーリの油圧室に掛かる油圧を高めてプーリの溝幅を狭くすることでスチール・ベルトの接触半径を大きくしている。
選択肢(3)は、適切です。
(4)プライマリ・プーリはプーリ比(変速比) を制御し、セカンダリ・プーリはスチール・ベルトの張力を制御している。
選択肢(4)も適切です。