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複数条件の場合はキーワードの間にスペースを入れてください。2級ガソリン自動車整備士・試験問題
2G 登録試験 2021年10月 問題03
ピストン・リングに関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
解説
(1)テーパ・フェース型は、しゅう動面が円弧状になっており、初期なじみの際の異常摩耗が少ない。
選択肢(1)は不適切です。
正しくは以下の通りです。
テーパ・フェース型は、摺動面がテーパ状になっており、シリンダ壁面と線接触するため、馴染みやすく気密性が優れている。
「テーパフェース型」は主にセカンドリングとして使用されている形状で、これも比較的よく用いられているピストンリング形状です(図)。
シリンダとの摺動面がテーパ上(斜めカット)になっており、エンジンオイルをかき落とす性能に優れているためです。
シリンダとの接触が非常に少ない線接触ですので、馴染みやすく気密性にも優れています。
(2)スカッフ現象は、シリンダ壁面の油膜が切れてリングとシリンダ壁面が直接接触し、リングやシリンダの表面に引っかき傷ができることをいう。
選択肢(2)は、適切です。
【シリンダ表面のスカッフの一例】
ピストン・リングとシリンダ壁面が直接接触し、ピストン・リングやシリンダ表面に引っ搔き傷ができます。
教科書は、スカッフはピストン・リングとシリンダ表面の傷だと述べていますが、ピストン・スカートの傷もスカッフです。
【ピストン・スカートのスカッフの一例】
Scuffの意味は、もともとは 〈靴・床などが〉すれて傷つく です。
(3)フラッタ現象とは、カーボンやスラッジ(燃焼生成物)が固まってリングが動かなくなることをいう。
選択肢(3)は、不適切です。
正しくは以下の通りです。
フラッタ現象とは、ピストン・リングがリング溝と密着せずにバタバタと浮き上がる現象をいう。
少し難しく言えば、各行程でピストンリングに作用する高圧力よりも慣性力が上回り、ピストンリング溝の上下面に密着せずに浮き上がったような状態になる現象です。
【リング・フラッタの一例】
ピストン・リングがピストンに合わせて上下作動する際にピストンリング溝に衝突して跳ね返ることが原因の一つと言われています。
この跳ね返りを防止するために、ピストン・リングはできるだけ薄くて軽い(慣性力が小さい)ものになっています。
(4)アンダ・カット型のコンプレッション・リングは、外周下面がカットされた形状になっており、一般にトップ・リングに用いられている。
選択肢(4)も不適切です。
正しくは以下の通りです。
アンダ・カット型のコンプレッション・リングは、外周下面がカットされた形状になっており、一般にセカンド・リングに用いられている。
リング下部をカットすることで、シリンダに接触する面積を減らし面圧を高めています(オイル上がりを防止)。
また、それによってシリンダへの伝熱面積が狭いというデメリットも付いてきます。
そのため、熱による影響が比較的少ないセカンド・リングに用いられています。