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複数条件の場合はキーワードの間にスペースを入れてください。2級ガソリン自動車整備士・試験問題
2G 登録試験 2021年10月 問題14
鉛バッテリに関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
解説
(1)放電終止電圧は、5時間率放電で放電した場合、一般に1セル当たり1.75Vである。
選択肢(1)は適切です。
放電終止電圧は5時間率放電の場合、12Vのバッテリで10.5Vです。
6セルが直列接続されていますから、1セル当たりでは、
\begin{align*} \frac{10.5}{6}=1.75V \end{align*}
となります。
5時間率容量の1/5の電流が5時間率電流です。
例えば、定格容量が52Ahのバッテリの場合を考えると、52Ah の5分の1は
\begin{align*} \frac{52}{5}=10.4A \end{align*}
10.4 [A]がこの場合の5時間率電流(0.2C)となります。
5間率電流の後ろに(0.2C)と書いてあのは、これも5時間率電流を表す「Cレート」という表記です。
5時間率であれば 1 ÷ 5 = 0.2Cですし、20時間率であれば 1 ÷ 20 = 0.05Cです。
5時間率電流でバッテリを放電していくと、だんだんバッテリの電圧は低下していき、容量がなくなると一気に電圧が降下してバッテリは空の状態になります。
”バッテリがもう空になったので放電を止めます”という電圧が放電終止電圧です。
5時間率容量試験の場合は放電終止電圧が10.5Vに規定されています。
グラフ5h(0.2C)を見ていただければわかるように、バッテリは放電を開始すると電圧が低下していき、やがて放電終止電圧の10.5Vに到達します。
10.5Vに到達までの放電時間を測定して、
\begin{align*} 放電電流 \hspace{3pt} \times \hspace{3pt} 放電時間 \end{align*}
により、5時間率容量が求められます。
放電できた時間が定格の5時間よりも少し長くなった場合、定格容量である52Ahよりも実際の容量は大きくなります。
実際に求めてみると、
\begin{align*} 10.4[A] \hspace{3pt} \times \hspace{3pt} 5.3 [h] = 55.12 [Ah] \end{align*}
となりました。
定格容量の52Ahよりも大きくなりました。
このように実際に測定してみると、5時間率容量というのはメーカが仕様として提示している容量よりも少し大きくなります。
(2)電解液の温度を一定とすると、電解液の比重が1.200の場合より1.300の方が起電力は大きい。
選択肢(2)も適切です。
起電力は、電解液比重に比例します。
(3)バッテリの電解液温度が50℃未満におけるバッテリの容量は、電解液温度が高いほど減少する。
選択肢(3)は不適切です。
正しくは以下の通りです。
バッテリの電解液温度が50℃未満におけるバッテリの容量は、電解液温度が高いほど増加する。
(4)電解液の比重を一定とすると、電解液の温度が0℃の場合より20℃の方が起電力は大きい。
選択肢(4)は適切です。